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「立ち上がれるか」が示す老化のサイン、運動機能テストだけでは分からない健康状態

運動機能テストは「何歳の体なのか」や寿命を予言するためのものではなく、身体に起きている変化を発見し、その原因を調べるための入り口と考えるべきだ。
ストレッチのイメージ(Getty Images)

握力やバランス、椅子から立ち上がる動作などを調べる「運動機能テスト」が、健康的な老化を評価する手段として注目されている。これらのテストは筋力や持久力を把握するだけでなく、高齢者の転倒リスクや身体的な虚弱さを見極めるうえでも役立つ。しかし専門家は、テストの結果だけから寿命や老化の程度を判断することはできないと指摘している。

米国で一般的に利用されているのが「30秒椅子立ち上がりテスト」だ。60歳以上を対象とし、30秒間に何回立ち上がれるかを調べることで、下肢の筋力などを評価する。また、近年ソーシャルメディアで広まった別のテストでは、立った状態から床に座り、再び立ち上がるまでの動作を採点する。床に座る動作と立ち上がる動作をそれぞれ5点とし、手や膝などで体を支えた場合には減点する仕組みだ。

この床からの立ち上がりテストについては、ブラジルの研究者が2020年と2025年に研究結果を発表している。中年層では、より高い得点を取った人ほど、その後およそ10年間の死亡リスクが低かったとされる。ただし、米国の医師によると、このテストが高齢者の診療現場で広く使われているわけではなく、特定の年齢層で得られた研究結果をすべての人に当てはめることはできない。

医療現場では「Timed Up and Go(TUG)」と呼ばれる検査も利用されている。椅子から立ち上がり、約3メートル歩いてから戻り、再び座るまでの時間を測るもので、バランス能力、移動能力、下肢の筋力をまとめて評価できる。検査結果が悪かった場合に重要なのは、単純に「体が老いている」と判断することではなく、膝の痛み、反応速度の低下、平衡感覚の問題、心血管系の不調による息切れやめまいなど、何が原因なのかを探ることだ。

さらに、健康状態を評価する際には握力、歩行速度、歩き方の安定性、片足立ち、前方へのリーチなど、複数の指標を組み合わせる必要がある。米国国立老化研究所が開発した「Short Physical Performance Battery(SPPB)」もその一つで、歩行、バランス、筋力などを総合的に調べ、死亡や身体障害などとの関連が大規模な臨床研究で示されている。

一方、握力のような単純な指標にも注意が必要だ。握力はさまざまな健康状態を予測する指標になり得るものの、関節炎や脳卒中、単に手の筋肉を使っていないことなどによっても変化する。つまり、一つの検査結果だけで、その人の健康状態を決めつけることはできない。

専門家が強調するのは、健康的な老化には運動機能以外の要素も大きく関係するという点だ。認知機能や記憶、聴力、視力、栄養状態、睡眠、ストレス、心臓の健康などを含め、身体全体を総合的に見る必要がある。テストで高得点を取ることだけを目的に訓練するのではなく、全身を動かし、栄養のある食事を取り、十分な睡眠を確保することが重要だ。

特に転倒には注意が必要だ。高齢者では毎年4人に1人以上が転倒するとの推計もあり、転倒した本人が大きな異常を感じていなくても、身体機能の低下や別の健康問題が隠れている可能性がある。運動機能テストは「何歳の体なのか」や寿命を予言するためのものではなく、身体に起きている変化を発見し、その原因を調べるための入り口と考えるべきだ。

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