トランプ大統領、急進的左派を倒すと宣言

7月4日アメリカ独立記念日、ドナルド・トランプ大統領はコロナウイルスの感染者数が激増しているにも関わらず大規模な独演会を開催。ウイルス対策における連邦政府と国の進歩および対応を世界に誇示した。

トランプ大統領は、世界中のメディアからパンデミックへの対処を誤ったと批判されているものの、その話題には一切触れず、中国武漢で発生した”チャイナ・ウイルス”および当局の初期対応を非難。「中国に全責任を負わせる」と力強く語った。

さらに、先月発生したジョージ・フロイド氏の死に抗議する反人種差別抗議活動に対し、「アメリカの輝かしい歴史に彩られた偉人たちの像が破壊された。私は誤った行動に走る集団を許さない。彼らはいずれ解体されるだろう」と述べた。

トランプ大統領の攻撃的な演説は、サウスダコタ州、ラシュモア山国立記念公園に響き渡った。大統領は、「急進的左派(エリザベス・ウォーレン議員やバーニー・サンダース議員など)、マルクス主義者、アナキスト、扇動者(FOXを除くメディア)、略奪者たちを片っ端から粉砕する」と宣言した。

独演会は続く。トランプ大統領は、ファーストレディー・メラニア女史と並び立ち、米兵および最前線で戦う医療スタッフを激励した。しかし、テキサス州やフロリダ州での医療体制逼迫には触れず、「科学者や医療関係者は素晴らしい。年末までにコロナウイルスの治療法およびワクチンが開発されるだろう」と述べた。

6月、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、「コロナウイルスを効果的に治療するワクチンは作れないかもしれない。現在の状況から推定すると、1年以内にワクチン候補の摂取を開始できると思う。しかし、それが機能するか否かは現時点では不明である」と警告した。

ジョンズ・ホプキンズ大学のまとめによると、7月4日時点のアメリカの累計感染者数は約289万人、132,000人以上の死亡が確認された。なお、7月3日の24時間当たり新規感染者数は57,209人、またしても最高記録を更新した。

トランプ大統領は、命を落とした13万人以上のアメリカ国民には一切言及せず、PCR検査総数が間もなく4,000万件に達することを誇示し、「コロナウイルスは完全に無害だった。我々は圧倒的勝利を収めるだろう」と主張した。

数十分におよんだ独演会後、ラシュモア山国立記念公園上空をB-52ストラトフォートレス爆撃機とF-35ライトニング2戦闘機などを含む航空機が軍事飛行を実施、トランプ大統領の宣言に花を添えた。

その後、ワシントンD.C.で大規模な花火大会が開催され、ナショナルモールに集まった大群衆は独立記念日HAPPY♡ANNIVERSARYイリュージョンを心行くまで堪能した。

トランプ大統領の独演会に先立ち、「Black Lives Matter」の抗議者たちがホワイトハウス前に集結。集会の中止と人種差別撲滅を訴えた。

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HAPPY♡ANNIVERSARY

アメリカはコロナウイルスの第一波を抑えることに失敗し、南部および西部の大規模クラスターおよびパンデミックリターンズに苦しめられている。

しかし、トランプ大統領は感染者が急増している現実を直視せず、ウイルス対策が大きな進歩を遂げ、連邦政府の戦略は順調に進んでいると主張した。

ナショナリズムへのアピールで保守層を扇動することに熱心なトランプ大統領は、2020年11月の大統領選挙に向け、批判の矛先および責任を中国と習近平国家主席になすりつけるべく、ラシュモア山の麓で宣誓した。

また、歴代の偉人をフィーチャーした「国民的英雄の庭園」計画についても詳しく説明し、「アメリカの世界一豊かな遺産は、全国民のものである。この国を築いた愛国者たちは悪党ではない。皆、英雄だった」と述べた。

ワシントンD.C.ではトランプ花火フェスタが開催されたものの、その他の地域ではコロナウイルスの感染状況を鑑み、花火大会等のイベントはほとんど行われなかった。

感染爆発に苦しむフロリダ州とカリフォルニア州のビーチは全て閉鎖、5月に終了したロックダウンの一部再開が決まり、街は閑散としていた。

トランプ大統領との11月決戦に臨むジョー・バイデン民主党議員はツイッターに、「今、あなたがすべき最も愛国的行な為は、マスクを着用することだ」と投稿した。

独立記念日の花火大会はアメリカを象徴するイベントのひとつである。しかし、全米の都市や町の80%(推定)がイベントのキャンセルを決断し、住人たちは寂しい夜を迎えた。

同日、メジャーリーグベースボール(MLB)は、1945年以来二度目となるオールスターゲームの中止および、選手31名とスタッフ7名がコロナウイルスに感染したと発表した。

ウイルスはトランプ大統領の自画自賛スピーチを嘲笑うかのように拡大し続けている。しかし、一部の専門家は連邦政府およびWHOの推奨する安全対策(マスク着用、社会的距離の確保など)が国民に浸透しつつある、と楽観視している。

アメリカの感染状況が一向に収束しない理由は、特定の「スーパースプレッダー」が爆発的二次感染を引き起こしているためである。国民はロックダウンの緩和や解除に伴い、密室での誕生パーティ、クラブでの飲酒やカラオケ、合唱の練習などを楽しむ。しかし、そこで大規模な二次感染が発生すれば、感染者数はネズミ算式に増加してしまうのだ。

超拡散イベントと恐れられるスーパースプレッダーは世界各地で発生している。日本の南端、鹿児島県鹿児島市で発生した大量感染もこれに該当する。

7月3日、同市の歓楽街、天文館のショーパブ「NEWおだまLee男爵」を訪れた女性1名のコロナウイルス感染が確認された。同店は密室での密接ショーを目玉とする人気店である。まず、店員への二次感染が判明し、さらにその他の利用者へウイルスが拡散。同店だけで66名の陽性者を出してしまった。

スーパースプレッダーの恐ろしい点は、無症状の患者が意図せず二次感染を引き起こしてしまうことにある。さらに、人口密集場所でそれが発生すると、とてつもない勢いで三次、四次、五次感染へとつながり、ウイルスが広範囲に拡散されてしまうのだ。

性急なロックダウンの解除と経済活動の再開は、スーパースプレッダーを発生させ、それが国家レベルのパンデミックにつながる。ホワイトハウスコロナウイルス対策チームの最高顧問を務めるアンソニー・ファウチ医師は、アメリカの24時間当たり新規感染者が100,000人を超えても驚かないと発言している。それが現実になる日は近いかもしれない。

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