◎バイデン氏はより大胆な行動を取るよう圧力をかけられているが、できることは限られている。
2022年7月8日/ワシントンD.C.ホワイトハウス、人工妊娠中絶の権利を保護する大統領令に署名するバイデン大統領(Kevin Lamarque/ロイター通信)

バイデン(Joe Biden)大統領が8日、人工妊娠中絶の権利を保護する大統領令に署名した。

バイデン氏は女性から中絶する権利を奪うべきではないと改めて表明し、その権利を保護するためには連邦法が必要と議会に訴えた。

最高裁判所は先月、1973年のロー対ウェイド裁判の判決を覆した。この判決により、全米のおよそ半分の州が中絶を禁止または制限すると予想されている。

▽ロー対ウェイド事件(1973年):最高裁は妊娠中絶を「合衆国憲法で保障される権利」と認め、堕胎禁止を初めて違憲と認めた。

バイデン氏はより大胆な行動を取るよう圧力をかけられているが、できることは限られている。

この大統領令は中絶を禁じた州の制限を一部緩和するものの、効果は限定的とみられている。

バイデン氏は演説で、「連邦議会が動かなければ中絶の権利を回復することはできない」と指摘した。「ロー裁判の判決を合衆国憲法に明記すれば、中絶の権利は回復します...」

またバイデン氏は、11月の中間選挙で中絶の権利を擁護する民主党に投票するよう促した。

共和党主導の州は軒並み中絶を禁じるまたは制限する州法を施行している。

バイデン氏は10歳の少女が性的暴行を受け、中絶するために隣の州に行かなければならなかったという最近の報道を引用した。「10歳の少女が性的暴行で望まない妊娠をしたにもかかわらず、州法は少女に中絶はできないと言っています...」

この大統領令は、中絶を求める女性が州境を越えた場合に直面する可能性のある罰則を緩和し、さらに中絶薬の入手を容易にする。

また、女性のプライバシーを保護するために、機密性の高い医療関連データの転送や販売を禁じ、リプロダクティブ・ヘルス関連の取り組みなども強化する。

AP通信はホワイトハウス関係者の話を引用し、「中絶が禁じられた州の女性は、生理日を管理するアプリに注意すべき」と報じている。

ホワイトハウスのジェンダー政策協議会の報道官は8日、「バイデン政権は女性にそのようなアプリを削除するよう推奨しているか」という質問に対して、「注意すべきだと思う」と答えた。

一部の専門家もアプリを使用した妊婦が中絶を禁じた州在住でデータを抜き取られた場合、中絶クリニックにアクセスできなくなる可能性があると指摘している。

最高裁の判決以来、少なくとも9つの州が、母親の生命に危険がおよぶ場合を除いて、中絶をほぼ全面的に禁止する州法を施行している。

中絶の権利を擁護する州は法的な挑戦に対応している。中絶を禁じられた州のクリニックは閉鎖を余儀なくされた。

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