◎アンドリュー・クオモ州知事の父、元NY州知事のマリオ・クオモ氏と親交の深いジョー・バイデン大統領は、この問題への関与を避けている。
2020年9月11日/ニューヨーク州、NYのアンドリュー・クオモ州知事(左)と民主党のチャック・シューマ―上院院内総務(右)(AP通信/Patrick Semansky)

3月12日、民主党のチャック・シューマ―上院院内総務は声明で、セクハラ被害の申し立てを複数受けているニューヨーク州のアンドリュー・クオモ州知事に速やかに辞任するよう要求した。

クオモ州知事は州議会の代表団のほぼ全員と州議会の民主党員の過半数の支持を失っている。また、同州選出のシューマ―上院院内総務とカーステン・ギリブランド上院議員などがこれに加わり、崖っぷちに追い詰められた。

<クオモ州知事に辞任を求めている民主党員>
・チャック・シューマ―上院院内総務
・カーステン・ギリブランド上院議員
・アレクサンドリア・オカシオ・コルテス下院議員
・グレース・メン下院議員
・モンデア・ジョーンズ下院議員
・ジェリー・ナドラー下院議員
・ジャマール・ボウマン下院議員
・キャスリーン・ライス下院議員
・ニディア・ベラスケス下院議員
・キャロライン・マロニー下院議員
・イベット・クラーク下院議員
・アントニオ・デルガド下院議員
・アドリアーノ・エスパイアート下院議員
・ニューヨーク州議会議員55人(3月12日時点)

シューマ―上院院内総務とギリブランド上院議員は共同声明で、「クオモ州知事は12日午後までに辞任しなければならない」と述べた。

複数の信頼できるセクハラと違法行為の申し立てにより、クオモ州知事は州議会のパートナーとニューヨーカーの信頼を失いました。州知事は速やかに辞任しなければなりません」

オカシオ・コルテス下院議員とボウマン下院議員も共同声明を発表し、クオモ州知事に対するセクハラ被害の申し立てを「異常事態」と呼んだ。

「残念ながら、州知事はセクハラや暴行だけでなく、他の問題でも非難に直面しています。クオモ政権は公的機関と州議会の両方からナーシングホームの死亡に関するデータを隠していたと非難されています」

NY州議会のカール・ヒースティ議長は11日の声明で、議会の司法委員会にクオモ州知事の弾劾調査を開始する権限を与えたと発表した。

ヒースティ議長は、「州知事に対する告発の報告は深刻であり、司法委員会はNY州憲法で許可されている権限を行使し、全ての事件を公正かつ公平に評価します」と述べた。

レティシア・ジェームズ州検事総長率いる別の調査チームも、申し立てに対する調査を始めている。

アンドリュー・クオモ州知事の元補佐官、シャーロット・ベネット氏(ABCニュース/シャーロット・ベネット氏)

これまでにクオモ州知事の下で働いていた数人を含む少なくとも6人の女性が、不適切な行為もしくは行動に直面したと主張している。

<セクハラ被害を訴えた女性>
・アンナ・ルーチ氏
・リンジー・ボイラン氏
・シャーロット・ベネット氏
・カレン・ヒントン氏
・アナ・リス氏
・氏名非公開の女性

報告によると、女性たちはクオモ州知事から性生活に関する質問を受け、望まない接触を強要され、嫌がらせを受け、キスを迫られたという。

一方、四面楚歌のクオモ州知事は3月12日のオンライン会見で申し立てを否定し、辞任しないと誓約した。

「私は複数の女性が主張している行為をしていません」

女性には主張する権利、人を訴える権利があります。しかし、私は女性たちが主張している行為をしていません。公平かつ公正な調査を要求します」

判決を下す前に、NY州検事総長の調査と州議会の弾劾調査の結果を待たなければなりません。私は23歳の時に父の選挙キャンペーンに参加して以来、世間の監視下に置かれてきました。ニューヨーカーは私を知っています。調査結果の公表を待ってください」

2017年7月12日/アイダホ州、クオモ州知事の補佐官を務めていたリンジー・ボイラン氏(ロブ・ラトゥール/シャッターストック)

困惑するクオモ州知事を見た共和党員は、コロナウイルス対策で成果を上げつつあるジョー・バイデン大統領から注目をそらすための行動を開始している。また、保守的なフォックスニュースや他の右翼メディアもこの話題を積極的に取り上げ、ある右翼アンカーは、「民主党はセクハラをもみ消します。それが民主党です。アメリカの女性たちはトランプ大統領の落選を心から悔やんでいるでしょう」と述べた。

クオモ州知事の父、元NY州知事のマリオ・クオモ氏と親交の深いバイデン大統領は、この問題への関与を避けている。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は12日の会見で記者から「大統領はクオモ州知事に辞任を要求するのか?」と質問を受けたが、明確な回答を避けた。

シューマ―上院院内総務の声明は、1.9兆ドル(200兆円)のアメリカンレスキュープランの成立を祝う式典開始とほぼ同じタイミングで公表された。しかし、クオモ州知事は圧力に屈する様子を見せず、告発者の訴えに新たな質問を投げかけている。

クオモ州知事は12日の会見の中で、「人々は双方の意見を平等に聞くべきだ」と主張した。

「私はセクハラの訴えを何度も見てきた元司法長官として皆さんに言いたいことがあります。必ず双方の言い分を聞き、徹底的に検証しなければなりません。決定(辞任要求)を下す前に、事実を明確にする必要があります」

「深刻な主張は真剣に検討されるべきですよね?民主党の批判者は無謀で危険です。事実を明確にする前に決定を下すべきではありません」

2020年9月11日/ニューヨーク州、アンドリュー・クオモ州知事(中央)と民主党のチャック・シューマ―上院院内総務(右)(AP通信/J. Scott Applewhite)

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