◎世界経済の減速と人件費・輸送費の高騰は、電子商取引やクラウドサービスなどの需要増などを受けて積極的にスタッフを採用したIT企業に圧力をかけている。
2018年/アマゾンのジェフ・ベゾスCEO(ロイター通信)

主要メディアは14日、小売り・IT大手アマゾン・ドットコム(Amazon.com)が早ければ今週から技術系職員約1万人を解雇する計画であると報じた。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、リストラの対象は人工知能アシスタント「アレクサ(Alexa)」を管理するデバイス部門、小売部門、人事部門。対象者の数は流動的でまだ確定していないという。

アレクサを管理する部門は年間50億ドル以上の営業損失を計上している。

タイムズ紙は今回のリストラ数について、「同社の企業スタッフの約3%に相当する」と報じている。同社は最近、今後数カ月間、法人向け従業員の採用を控えると発表していた。

同社は潜在的な景気後退に備え、従業員を大幅に削減する米企業のひとつとなった。

タイムズ紙は関係者の話を引用し、「この時期の解雇は異例」と報じている。アマゾンはクリスマスなどのホリデーシーズンを特に重視しており、この時期のリストラは世界経済の減速がIT大手にも圧力をかけている証拠といえる。

また同社はコロナの影響でスタッフが不足したことを受け、技術系職員の報酬上限を数カ月前に引き上げたばかりである。

IT大手メタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)は先週、従業員の13%に相当する1万1000人超を解雇すると発表した。テスラ社のマスク(Elon Musk)CEOが買収したツイッターやマイクロソフトも人員整理を進めている。

世界経済の減速と人件費・輸送費の高騰は、電子商取引やクラウドサービスなどの需要増などを受けて積極的にスタッフを採用したIT企業に圧力をかけている。

インフレと金利の上昇で消費者の買い控えはさらに進むと予想されている。売り上げが減った企業は人員整理を検討せざるを得ない。

アマゾン社は先月、9月期の売り上げが予想を下回ったと発表した際、インフレと買い控えにより、今年のハロウィン、感謝祭、クリスマスの売り上げは厳しいものになると警告していた。

同社の株価は今年に入ってから約40%値下がりしている。

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