米ニューヨーク州で臭素酸カリウムの使用禁じる法律施行へ、食文化に変化も
臭素酸カリウムは小麦粉に加えることで生地の弾力や安定性を高め、発酵時間を短縮できる添加物だ。
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米ニューヨーク州でピザやベーグル作りに広く使われてきた食品添加物「臭素酸カリウム(ポタシウム・ブロメート)」を禁止する法案が波紋を広げている。州議会はすでに法案を可決しており、22日時点でホークル(Kathy Hochul)州知事の署名待ちとなっている。成立すれば、ニューヨークを象徴する食文化に大きな変化をもたらす可能性がある。
臭素酸カリウムは小麦粉に加えることで生地の弾力や安定性を高め、発酵時間を短縮できる添加物だ。特にニューヨーク風ピザの薄く折りたためる生地や、ベーグル特有のもちもちとした食感を作り出すうえで重要な役割を果たしてきた。専門家はニューヨーク市内のピザ店やベーグル店の約8割が臭素酸カリウム入りの小麦粉を使用していると推定している。
一方で、この添加物は発がん性の疑いが指摘されている。1980年代以降の動物実験では、一定量の摂取によってがんを引き起こす可能性が示されており、欧州連合(EU)やカナダ、中国、インドなどではすでに使用が禁止されている。米国でもカリフォルニア州が2027年から禁止する方針を打ち出している。
こうした中、ブルックリンの老舗ピザ店「ロ・デュカ・ピザ」では、臭素酸カリウムを含まない小麦粉への切り替えを進めている。店長はAP通信の取材に対し、当初は不安を抱えていたものの、「値段は少し高いが、むしろ品質は良くなった」と語った。発酵に時間をかけることで、生地の風味や軽さが向上したという。
しかし、すべての店が前向きというわけではない。老舗ベーグル店「ユートピア・ベーグルズ」は、「同じ食感を再現するには、より多くの手間とコストが必要になる」と懸念を示す。実際、代替となる無添加小麦粉は価格が高い場合もあり、最終的にはピザやベーグルの値上げにつながる可能性も指摘されている。
一方、添加物に頼らず長時間発酵で生地を作る店舗も増えている。こうした職人系の店では、「化学的な補助よりも発酵技術こそが本来の味を生む」との考えが広がっている。今回の規制をきっかけに、ニューヨークのピザやベーグルがより伝統的で高品質な方向へ進化するとの期待もある。
法案が成立した場合、事業者には1年間の移行期間が与えられる予定だ。ニューヨーク名物の味と食感は変わるのか。それとも新たな「本物」の味が生まれるのか。市民や業界関係者の注目が集まっている。
