スイス「人口を1000万人に制限する国民投票」知っておくべきこと
スイスの人口は現在約910万人で、このまま推移すれば2040年代初頭には1000万人を超えると予測されている。
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スイスで6月14日に行われる国民投票を前に、人口を2050年までに1000万人以下に抑える憲法改正案が国内外で大きな注目を集めている。提案を主導するのは右派政党・スイス国民党(SVP)で、急速な人口増加による住宅不足や公共サービスへの負担増大を理由に、移民流入の大幅な抑制を求めている。一方、政府や経済界は労働力不足の深刻化や欧州連合(EU)との関係悪化を招く恐れがあるとして反対している。
スイスの人口は現在約910万人で、このまま推移すれば2040年代初頭には1000万人を超えると予測されている。改正案では人口が950万人に近づいた段階で政府に人口増加抑制策の実施を義務付ける。具体的には移民受け入れの制限や難民認定の厳格化、家族呼び寄せ制度の見直しなどが想定されている。さらに人口が1000万人を超えた場合には、人口増加につながる国際協定を見直し、必要に応じて破棄することまで求めている。
最大の焦点は1999年に締結されたEUとの「人の自由移動協定」への影響である。この協定により、EU市民はスイスで働いたり居住したりする権利を持ち、逆にスイス国民もEU域内で同様の権利を享受している。改正案が成立すれば、将来的にスイスがこの協定から離脱する可能性が高まり、EUとの経済関係に深刻な影響を及ぼすとの見方が広がっている。
スイス経済は外国人労働者への依存度が高い。人口の約28%を外国籍住民が占め、医療や建設、運輸、金融、製薬など幅広い分野で外国人労働者が重要な役割を果たしてきた。経済界は移民制限によって人材確保が困難となり、企業活動や経済成長が損なわれると警告している。製薬大手が集積するバーゼルでは、国際的人材の流入が制限されれば研究開発や投資が国外へ流出するとの懸念も示されている。
一方、支持者は人口増加による住宅価格の上昇や交通混雑、自然環境への負荷拡大などを問題視している。近年は移民増加への不満が欧州各国で高まり、今回の国民投票は移民政策を巡る欧州全体の議論にも影響を与える可能性がある。イギリスのEU離脱(ブレグジット)との類似性を指摘する声もあり、結果次第では欧州における移民政策の転換点となる可能性もある。
世論調査では賛否が拮抗した時期もあったが、直近の調査では反対がやや優勢となっている。それでも移民問題への関心は依然として高く、国民投票の結果はスイスの将来だけでなく、欧州における人の移動と統合のあり方を占う重要な試金石となりそうだ。
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