フォルクスワーゲン、次世代EV「ID.ゴルフ」の開発を一時停止、深刻な経営難で本社工場にもリストラの波

ID.ゴルフは、複雑な車両構造や生産コストを削減する次世代共通基盤「SSP」を採用する重要モデルだ。
独自動車大手フォルクスワーゲンの展示ブース(ロイター通信)

ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は10月30日、次世代の電気自動車(EV)「ID.ゴルフ」の開発準備作業を一時停止すると明らかにした。対象はドイツ北部ニーダーザクセン州のヴォルフスブルク工場で進められていた開発業務で、必要な投資資金を現時点で確保できないことが理由だ。欧州最大の自動車メーカーが、主力車種の将来計画まで見直す事態となった。

VWブランドのシェーファー(Thomas Schäfer)CEOは社内向け文書で、「今はこうした作業に資金を投じる余裕がない」と説明した。同工場は年間のコスト削減目標に対して約3億ユーロの不足を抱えている。工場閉鎖の対象には含まれていないものの、経営効率の改善が急務となっている。

VWは10月29日、10年以上ぶりとなる最大規模の四半期損失を発表した。中国市場での販売不振やポルシェ関連の巨額減損、事業再編費用などが業績を圧迫している。同社は経営再建策として、世界で約10万人の人員削減やドイツ国内最大4工場の閉鎖を検討しており、労働組合IGメタルとの対立も深まっている。労組は2027年1月1日以降のストライキを検討している。

一方、ヴォルフスブルク工場の従業員代表委員会は、今回の開発停止がID.ゴルフの発売延期を意味するものではないと説明した。作業の遅れは取り戻せるとしている。ただし、開発費の凍結は経営の深刻さを示す新たな兆候と警告した。

ID.ゴルフは、複雑な車両構造や生産コストを削減する次世代共通基盤「SSP」を採用する重要モデルだ。当初2026年を目標としていた同基盤の投入はすでに遅れており、中国メーカーとの競争が激化する欧州市場でVWがEVの競争力を取り戻すための柱と位置付けられている。

今回の開発停止は、同社のEV戦略にも影を落としている。

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