SHARE:

ベラルーシ野党指導者「政治犯の釈放が遅れている」米国が仲介

ベラルーシの人権団体「ビアスナ人権センター」によると、現在も約870人の政治犯が拘束され、そのうち少なくとも170人は年齢や病気などの理由で特に危険な状況に置かれている。
ベラルーシの反政権派チハノフスカヤ氏(Getty Images)

ベラルーシの反体制派指導者であるチハノフスカヤ(Svetlana Tikhanovskaya)氏は9日、米国政府から政治犯の追加釈放に遅れが生じているとの説明を受けたことを明らかにした。これは、米国とベラルーシ政府の間で進められてきた政治犯解放交渉が停滞していることを初めて公に示す発言となった。

交渉は米国の特使であるコール(John Coale)氏が主導してきた。これまでの交渉によって、ベラルーシのルカシェンコ政権は400人以上の政治犯を釈放しており、米側は対価として一部制裁の緩和を進めてきた。今年3月には250人が一度に釈放されるなど、両国の関係改善に向けた動きが注目を集めていた。

しかし、チハノフスカヤ氏によると、米側は「次の釈放はしばらく延期された」と説明したという。延期の具体的理由については明らかにされなかったものの、同氏は事情を理解し、深刻な懸念は抱いていないとしている。ただし、高齢者や病人を含む収監者の健康状態は悪化しており、一日でも早い釈放が必要だと強調した。ベラルーシの人権団体「ビアスナ人権センター」によると、現在も約870人の政治犯が拘束され、そのうち少なくとも170人は年齢や病気などの理由で特に危険な状況に置かれている。

交渉停滞の背景には、ベラルーシと西側諸国との緊張再燃があるとみられる。ベラルーシは最近、ロシアとの合同核演習を実施したほか、政権批判者への拘束や有罪判決も続いている。チハノフスカヤ氏はロイター通信のインタビューで「毎日のように新たな逮捕者が出ている」と述べ、ルカシェンコ政権が依然として弾圧政策を続けていると批判した。

また同氏は、政権が政治犯を外交交渉の材料として利用しているとの見方も示した。古い政治犯を釈放する一方で新たな反体制派を逮捕し、「回転ドア」のように収監者を入れ替えていると指摘する。こうした手法によって政権は西側との交渉カードを維持しているという。

一方で、チハノフスカヤ氏は米国の取り組み自体については高く評価している。長年停滞していた政治犯問題で具体的成果を上げたことは重要だとしながらも、西側が拙速に制裁を解除すれば、ルカシェンコ政権に利用されるだけだと警告した。同氏は、政治犯の完全釈放や民主化に向けた制度改革が実現するまで、国際社会が圧力を維持する必要があると訴えている。今回の交渉遅延はベラルーシと西側の関係改善が依然として不安定な段階にあることを改めて浮き彫りにした。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします