◎一部の人権団体は「平和的な抗議デモに参加した市民が逮捕された」と非難している。
2023年5月6日/イギリス、ロンドンのトラファルガー広場近く、王室に反対するデモ隊(Gareth Fuller/Pool/AP通信)

ロンドン警視庁は6日、チャールズ国王(King Charles III)の戴冠式に反対するデモ隊の一部が暴徒化し、数十人を逮捕したと明らかにした。

BBCによると、様々な理由で少なくとも52人が逮捕されたという。

一部の人権団体は「平和的な抗議デモに参加した市民が逮捕された」と非難している。

警視庁は声明で、「世論の懸念とデモの権利を理解している」と述べる一方、逮捕劇については法律に基づいて行動したと説明している。

また警視庁は「抗議デモは合法である」とし、「デモに参加したその他の数百人は法に触れることなく、平和的に抗議した」と強調した。

警視庁は戴冠式に先立ち、「抗議デモが犯罪に発展し、深刻な混乱を引き起こす可能性がある場合、適切に処理する」と警告していた。

BBCによると、最初の逮捕者は6日早朝に中心部のトラファルガー広場近くで行われたデモで確認されたという。この近くには戴冠式が行われたウェストミンスター寺院がある。

警察は英王室の解体を求める反君主主義団体の責任者とされる人物を逮捕したようだ。この人物はチャールズ国王が通過する道路の近くで「私の王ではない(Not My King)」という看板を降ろした後、拘束されたと伝えられている。

この人物の周りにいた人々も一斉に拘束、連行された。

警視庁は声明で、「抗議者から手すりなどに体を固定するロックオン装置(金属のチェーンとみられる)を押収した」と述べている。

議会は最近の刑法改正で抗議デモへのロックオン装置の持ち込みを禁じていた。

しかし、反君主主義団体は会場に装置を持ち込んだという警察の主張を否定し、「自分たちはストラップを持ち込んだだけだ」と反論した。

警察によると逮捕された52人は公務執行妨害、公序良俗違反、暴動の扇動などの罪に問われる可能性があるという。

52人のうち32人が公序良俗違反の疑いで逮捕されたようだ。

警視庁は逮捕者の詳細を明らかにしていない。ロンドンに拠点を置く環境保護団体ジャスト・ストップ・オイル(Just Stop Oil)は市内のモールで13人、首相府の近くで5人が逮捕されたと発表している。

ジャスト・ストップ・オイルの広報担当は声明で、「彼らの計画は(私の王ではない)Tシャツを着て、ステッカーを掲げるだけだった」と述べ、警視庁を非難した。

環境保護団体アニマルライジング(Animal Rising)はSNSに、「戴冠式から何マイルも離れた場所で市民が逮捕された」と書き込んでいる。

国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)のイギリス支部は声明で、「戴冠式に平和的に抗議した人々が逮捕されたという報告に驚愕している」と非難声明を出した。「これはロンドンではなく、モスクワでみられる取り締まりです...」

ロンドン中心部に集まった人々は「王冠を下ろせ」「まともな仕事をしろ」「税金泥棒」などと叫んだ。

BBCによると、カーディフ、グロスゴー、エディンバラでも数百人規模の抗議デモが行われたという。逮捕者は報告されていない。

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