◎6月に発足した暫定政権にウクライナへの軍事支援を決める権限はなく、それを継続するか否かは9月30日の議会選に基づき発足するとみられる新政権が決める。
スロバキアのチャプトバ大統領(ロイター通信)

スロバキアがウクライナに対する軍事支援を停止した。チャプトバ(Zuzana Caputova)大統領が5日、明らかにした。

それによると、6月に発足した暫定政権にウクライナへの軍事支援を決める権限はなく、それを継続するか否かは9月30日の議会選に基づき発足するとみられる新政権が決めるという。

国会(一院制、定数150)は6月、オドル政権の信任投票を賛成34ー反対43で否決。不信任が確定し、議会選の準備を行う暫定政権が発足した。

チャプトバ氏は2日、議会選で勝利した左派政党スメルのフィツォ(Robert Fico)元首相に組閣を要請した。

スメルは得票率22.9%で第1党に躍進。42議席を獲得した。第2党は中道左派のプログレッシブ・スロバキアで、得票率は17%だった。

フィツォ氏はウクライナへの軍事支援を中止すると宣言しており、EUとNATOの結束に影響を与えるという懸念が高まっている。

地元メディアによると、スメルは他の2政党と連立交渉を行っているという。

連立交渉の猶予期間は2週間以内であり、組閣が実現しなければ、第2党のプログレッシブ・スロバキアにチャンスが回ってくる。

プログレッシブ・スロバキアも組閣に失敗した場合、2度目の議会選に進む可能性が高い。

大統領府の報道官は5日、X(旧ツイッター)に声明を投稿。「スロバキアはこれからもウクライナを支援し続ける」と表明した。

チャプトバ氏はウクライナの首都キーウを2度訪問している。

大統領府の報道官はこう警告している。「暫定政権にウクライナ支援継続を承認する権限はなく、仮にこれを認めれば、危険な前例を作ることになる...」

また報道官は「チャプトバ大統領は行政が決めたウクライナ支援を支持する用意がある。それがどのようなものであっても...」と述べた。

スロバキアはウクライナの主要な支援国であり、旧ソ連時代のミグ29戦闘機を含む多くの兵器・弾薬・人道支援を提供している。

暫定政権は旧政権の決定に基づき、ウ軍に新たな弾薬を送ったり、ウ兵に地雷除去の訓練を行う予定だった。

スポンサーリンク