セルビア抗議デモ、ブチッチ大統領の辞意表明後も続く
今回の抗議デモは2024年11月にノビサドの鉄道駅で改修工事中の駅舎の屋根が崩落し、16人が死亡した事故を契機に始まった。
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セルビアで反政府デモが続いている。ポピュリストのブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領が数週間以内に辞任し、前倒しで大統領選挙と議会選挙を実施する考えを表明したにもかかわらず、抗議デモを主導する学生団体や市民らは要求が十分に満たされていないとして運動を継続している。28日には北部ノビサドや首都ベオグラードなどで数千人規模の集会が開かれ、参加者は政治改革や政府の責任追及を改めて訴えた。
ブチッチ氏は27日、ベオグラードで開かれた集会で、「数週間以内に辞任する」と表明した。自身の任期は2027年まで残っていたが、辞任によって大統領選と議会選を前倒しで実施する方針を示した形だ。一方で、自身が率いる与党・セルビア進歩党(SNS)の勝利を支援すると強調しており、今後も政治的影響力を維持する姿勢を隠していない。
今回の抗議デモは2024年11月にノビサドの鉄道駅で改修工事中の駅舎の屋根が崩落し、16人が死亡した事故を契機に始まった。事故をめぐっては、公共事業における汚職や安全管理の不備が背景にあるとの批判が噴出し、当初は真相究明と責任者の処罰を求めるデモだった。しかし、その後は政府全体の腐敗や権力集中への反発へと発展し、学生を中心とする反政府運動へと拡大した。
28日のデモでは「学生たちが勝つ」と書かれたTシャツや横断幕を掲げる参加者の姿が目立った。一方で、ブチッチ氏辞任の表明を歓迎しつつも、それだけで政治が変わるとは考えていない市民が多い。参加者の1人はロイター通信の取材に対し、「彼が本当に権力を手放すとは思えない」と語り、形式上は退任しても別の役職から実権を握り続ける可能性に警戒感を示した。政治アナリストの間でも、ブチッチ氏が首相への転身を図り、大統領職には側近を就任させることで影響力を維持するとの見方が出ている。
ブチッチ政権は野党や欧州連合(EU)から報道の自由や司法の独立、民主主義の後退をめぐってたびたび批判を受けてきた。セルビアはEU加盟候補国である一方、ロシアや中国との関係も重視しているため、今後の政局は欧州諸国をはじめ国際社会の注目を集めている。18か月以上続く今回の抗議運動は2000年にミロシェビッチ政権が崩壊して以来、同国で最大規模の市民運動とされる。ブチッチ氏の辞意表明によって事態は新たな局面を迎えたものの、政権交代や政治改革を求める市民の声が収束する見通しは立っていない。
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