セルビア学生運動、総選挙で歴史的勝利も汚職撲滅と民主改革の実現に課題
27日時点の暫定集計では、学生リストは定数250の議会で140議席を獲得する見通しとなり、SNSの104議席を上回った。
.jpg)
セルビアで学生主導の野党勢力「学生リスト」が10月25日の議会選挙でブチッチ(Aleksandar Vucic)前大統領率いる与党・セルビア進歩党(SNS)を破り、歴史的な勝利を収めた。約14年にわたるブチッチ政権への不満を背景に、汚職撲滅や報道の自由、法の支配の回復を掲げて支持を集めた。ただ、政治経験の乏しい候補者が中心で、政権運営には多くの難題が待ち受ける。
27日時点の暫定集計では、学生リストは定数250の議会で140議席を獲得する見通しとなり、SNSの104議席を上回った。ブチッチ氏は投票終了から約1時間半後に敗北を認めたものの、異議申し立てや一部投票所での再投票の可能性があり、新議会と新政権の成立には数週間かかるとみられる。ブチッチ氏が先月、大統領を辞任して議会選挙に臨んだことから、後任を選ぶ大統領選挙も必要となる。
学生リストの出発点は、2024年に北部ノビサドの鉄道駅で屋根が崩落し、16人が死亡した事故だった。事故を契機に、政府の管理責任や汚職への批判が全国的な抗議運動へと発展した。学生側は11項目の政策綱領を掲げ、警察や司法制度の改革、腐敗した公職者の排除、過去の大型公共事業の検証などを約束している。しかし、縁故主義や政治的な人事が社会の広い分野に根付いているとされ、既存の権力構造を変えるには時間がかかる。
報道機関の改革も急務だ。選挙後、ブチッチ氏に近い民間テレビ局インフォーマーには抗議者らが押しかけ、警察との衝突も発生した。学生側は暴力を否定し、議会を通じた制度的な改革を訴えているが、政治的分断が深まれば、政権移行期の混乱が拡大する恐れがある。
外交政策も難題となる。セルビアは欧州連合(EU)加盟を目指す一方、歴史的・政治的にロシアと友好関係を維持してきた。ブチッチ政権は両者の間で均衡を図ってきたが、ロシアへの制裁に加わらなかったことがEU加盟交渉の停滞要因となった。学生リスト内部でも外交方針は明確でなく、支持者の期待に応えられるかは未知数だ。選挙での勝利を持続的な民主改革へ結び付けられるかが、新政権の真価を問うことになる。
