◎ロシア軍は精度の高いミサイルを使い果たしたと考えられている。
2022年6月10日/ウクライナ、東部ドンバスの避難所(Bernat Armangue/AP通信)

ウクライナとイギリスの当局者は11日、ロシア軍がウクライナ東部ドンバスの攻防戦でより強力かつ非人道的な破壊兵器を使用していると警告した。

英国防省はロシアの爆撃機が1960年代の超音速巡航ミサイル「Kh-22/Kh-32」を使用している可能性が高いと報告した。このミサイルは核弾頭を搭載でき、空母を破壊するために設計された。

英国防省によると、このミサイルは精度が低く、民間人への被害が拡大する恐れがある。

ロシア軍は精度の高いミサイルを使い果たしたと考えられている。

英国防省は「地上戦に巨大な巡航ミサイルが投入されているということは、より精密な最新ミサイルが不足していることを意味する」と説明した。

一方、激戦が繰り広げられているルハンシク州の知事は、セベロドネツクとリシチャンスクの南西に位置する村が焼夷弾で焼き尽くされたと報告した。

ハイダイ(Sergiy Gaiday)知事は11日、「ロシア軍の夜間攻撃で民間施設が焼失し、複数の犠牲者が出たと報告を受けている」とテレグラムに投稿した。

焼夷弾は非人道的な兵器に分類され、マリウポリでも使用されたと考えられている。

ロシア軍はドネツク州のウクライナ軍の主要拠点であるセベロドネツクとリシンチャンスクを包囲し、総攻撃を仕掛けているとみられる。ハイダイ氏は鉄道基地、レンガ工場、ガラス工場を含むあらゆる施設が破壊されたと報告した。

ウクライナ政府は「ロシア軍はドネツク州スラビャンスクでも攻勢を強めている」と報告している。

一方、ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は首都キーウで欧州委員会のフォンデアライエン(Ursula von der Leyen)委員長と会談し、対ロシア制裁の強化などについて協議した。

フォンデアライエン氏が戦時下のキーウを訪問したのは2度目。

ゼレンスキー氏は会談後の共同記者会見で、裁判官を含むより多くのロシア政府関係者を制裁対象に追加し、国営ガス大手ガスプロム社が取引する銀行や、その他のロシアを支援する全ての企業の活動を阻止するよう訴えた。

またゼレンスキー氏は、「ウクライナはEUとの結束を強化するためにあらゆることをする」と約束した。「欧州を分割しようとするロシアの策略を阻止するために、できることは何でもします...」

フォンデアライエン氏はウクライナのEU加盟候補入りを承認するための取り組みが24時間体制で進められていると説明した。同氏によると、目標は来週末までに加盟27カ国と審査を行うことだという。

ゼレンスキー氏と一部のEU加盟国はウクライナのEU早期加盟を求めている。

フォンデアライエン氏は加盟プロセスを「実力主義」と表現し、ウクライナに法の支配を強化し、汚職と戦い、制度を近代化するよう訴えた。

またフォンデアライエン氏は、ロシアの侵略に直面したウクライナの「強さと回復力」を賞賛し、EUは同国の復興を支援すると約束した。

2022年6月11日/ウクライナ、首都キーウ、ゼレンスキー大統領と欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長(Natacha Pisarenko/AP通信)
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