ルーマニア議会が首相候補を拒否、政治危機続く、与党議員が離反
信任投票の結果、ベステア氏の内閣案は賛成189票ー反対23票にとどまり、可決に必要な233票を大きく下回った。
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ルーマニアで政治危機が一段と深刻化している。議会は22日遅く、首相候補のベステア(Adrian Veștea)議員が提示した新内閣を信任せず、政権発足に必要な議会承認が得られなかった。これにより、5月から続く政治的混乱は収束の見通しが立たなくなり、欧州連合(EU)加盟国である同国の経済運営や対外的な信頼性にも影響が及ぶ可能性が高まっている。
信任投票の結果、ベステア氏の内閣案は賛成189票ー反対23票にとどまり、可決に必要な233票を大きく下回った。多数の議員が棄権したため、内閣発足は実現しなかった。今回の結果は5月に不信任決議によって前政権が崩壊して以来続く政治危機をさらに深刻化させるものとなった。
ベステア氏は中道右派の与党・国民自由党(PNL)に所属するベテラン政治家で、地方自治体の首長や開発相などを歴任してきた。ニクソル・ダン(Nicusor Dan)大統領は行政経験の豊富さを理由にベステア氏を候補にしたが、指名に際して党執行部との十分な調整を行わなかったため、皮肉にも自身の所属政党から支持を得られなかった。ベステア氏の内閣案は最大野党・社会民主党(PSD)の支援を受けたものの、PNL内の反発や他党の消極姿勢が障害となった。
信任投票に先立ち、ベステア氏は演説で、「ルーマニアは市民と国家の信頼関係が失われ、危機に直面している」と訴えた。さらに、財政赤字の拡大やインフレ、国際情勢の不安定化など複数の課題を抱えていると指摘し、野党に協力を呼び掛けた。しかし、こうした訴えは議会多数派の形成には結び付かなかった。
特に強硬な反対姿勢を示したのが民族主義色の強い極右政党・ルーマニア統一同盟(AUR)である。同党は投票への協力を拒否、採決前に退席した。近年、既成政党への不満を背景に支持を拡大しているAURは、今回の政治的行き詰まりによってさらに勢力を伸ばすとの見方も出ている。政治アナリストの間では、主流政党が安定した政権を構築できない状況が続けば、AURへの支持が一層高まるとの懸念が広がっている。
今後、ダン大統領は新たな首相候補を指名する必要がある。次の候補者も組閣に失敗した場合、解散総選挙が実施される可能性がある。ただし、ルーマニアではこれまで議会解散による総選挙の前例がなく、各党は選挙回避に向けた妥協点を模索するとみられる。とはいえ、EU域内でも高水準の財政赤字とインフレに直面する同国にとって、政治空白の長期化は経済政策の停滞やEU資金の活用遅れにつながりかねない。政権樹立を巡る駆け引きは今後も続く見通しであり、ルーマニア政治は重大な局面を迎えている。
