ポルトガル、移民規制で住宅危機悪化、建設労働者確保できず
ポルトガルでは近年、住宅価格や家賃の高騰が社会問題となっている。
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ポルトガル政府が進める移民規制の強化が、深刻な住宅不足の解消を担う建設業界に大きな影響を及ぼしている。中道右派政権は2024年以降、移民流入を抑制する方針を掲げ、入国後に滞在許可を申請できる従来制度を廃止した。その結果、2025年の純移民数は前年からほぼ半減し、外国人労働者への依存度が高い建設業では人手不足が一段と深刻化している。
ポルトガルでは近年、住宅価格や家賃の高騰が社会問題となっている。人口増加や都市部への人口集中に加え、観光需要や外国人投資の拡大によって住宅供給が追いつかず、全国で約30万戸の住宅が不足していると推計されている。
政府は欧州連合(EU)の支援を受けた約90億ユーロ規模の計画を通じ、2030年までに15万戸の手頃な価格の住宅を建設する目標を掲げているが、建設現場では必要な労働力を確保できず、計画の実現性が危ぶまれている。
建設業界団体によると、現在不足している労働者は8万~12万人に上る。現場ではブラジルやネパール、インド、バングラデシュなどからの移民労働者が重要な役割を担ってきたが、新たな移民規制によって人材確保が難しくなった。
政府は2025年に建設業など人手不足が深刻な分野を対象とする迅速査証(ビザ)制度を導入したものの、厳格な条件が設けられているため、これまでに発給された査証は約5000件にとどまり、業界が求める水準には遠く及んでいない。
建設会社の経営者らは、外国人労働者なしでは住宅建設やインフラ整備を維持できないと訴える。すでに現場では工期の遅れや人件費の上昇が目立ち始めており、住宅供給の停滞がさらなる価格高騰を招く恐れがある。また、合法的に働いている移民労働者の中にも滞在資格の更新や将来への不安を抱える人が多く、熟練労働者の流出も懸念されている。
一方、モンテネグロ(Luís Montenegro)首相は移民政策の厳格化は社会保障制度への負担軽減や国境管理の強化に不可欠だと主張している。しかし、住宅危機の解決には建設労働力の確保が欠かせないとの指摘は強く、業界団体や労働組合は建設分野に対する特例措置や査証制度の柔軟な運用を求めている。
移民抑制と経済成長、住宅政策をいかに両立させるかが、ポルトガル政府の大きな課題となっている。
