◎ベラルーシとポーランドの国境沿いに押しやられたアフガニスタン難民32人は3週間以上立ち往生している。
2021年8月19日/ポーランドとベラルーシの国境付近、移民希望者を取り囲むポーランド軍の兵士(Mateusz Wodziński/AP通信)

8月31日、ポーランドの地方当局は隣国ベラルーシから押し寄せてくる移民の入国を阻止するために、国境沿いに非常事態を宣言するようアンジェイ・ドゥダ大統領に要請した。

地方当局は声明の中で、「外国の潜在的なリスクからポーランドを守るためには非常事態宣言が必要」と述べた。

ドゥダ大統領は国境沿いで発生している問題の分析を進めていると述べ、要請は承認されると示唆したが、発効時期は明らかにしなかった。ドゥダ大統領は声明で、「近いうちにポーランドの安全が強化されることを期待してください」と述べ、「議会の承認を得られると信じている」と強調した。

非常事態を宣言するためには議会の承認を得なければならない。

マリウシュ・カミンスキー内相は国境沿いを対象とする非常事態宣言について、「地元住民に大きな影響を与えることはないが、国境から約3kmの地域に部外者が立ち入れないよう制限を課す」と述べた。

一方、ベラルーシとポーランドの国境沿いに押しやられたアフガニスタン難民32人は3週間以上立ち往生している。地元メディアによると、食料支援は限られており、雨と寒さの影響で体調を崩した人もいるという。

難民の監視にあたったポーランド軍の兵士は地元メディアの取材に対し、「子供が泣いているところを見るのは悲しい」と語った。

ポーランドには8月だけで3,200人以上の不法移民が押し寄せ、その多くが国境沿いで拘束された。移民希望者の大半がイラクから来た人々で、その次にアフガニスタンが多く、ソマリア、タジキスタン、シリアから来た人もいると伝えられている。

ポーランド政府はベラルーシの独裁者アレクサンドル・ルカシェンコ大統領がEUの不安定化を狙って移民を隣国に運んでいると非難した。

ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は31日の記者会見で、「ルカシェンコ大統領のハイブリッド攻撃を止めなければならない」と述べた。

ポーランドは国境警備を強化するために兵士900人以上を配備し、有刺鉄線付きのフェンスを国境沿いに設置している。

一方、人権活動家は3週間以上野外で立ち往生しているアフガン難民32人を助けるために国境地域を訪問し、兵士に移民希望者を受け入れるよう訴えた。

現地を視察した権利団体によると、難民32人のうち8人の腎臓に問題があり、5人は慢性的な下痢に悩まされているという。重い病気を患っている52歳の女性は5人の子供を連れてアフガンから逃げてきた。

別の活動家団体はポーランド軍が国境沿いに設置したフェンスの一部を除去し、拘束された。ある抗議者はAP通信の取材に対し、「非人道的なフェンスを取り払う」と主張した。

カミンスキー内相は活動家団体の行動を「スキャンダラス」と呼び、非難した。

ベラルーシとロシアは9月に大規模な軍事演習を予定しており、ポーランド政府はそれまでに国境の体制を強化する必要があると強調した。

ベラルーシと国境を接するリトアニアとラトビアも移民の圧力に直面している。

2021年8月20日/ポーランドとベラルーシの国境周辺、アフガニスタン難民(Michal Kosc/AP通信)

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