バーナム英次期首相、「デジタル身分証明制度」中止へ
デジタルID制度はスターマー政権が不法就労対策や行政サービスのデジタル化を目的として導入を進めていた。
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イギリスの与党・労働党のバーナム(Andy Burnham)次期首相は18日、前政権が推進してきたデジタル身分証明(ID)制度を中止する方針を明らかにした。バーナム氏の報道官はこの制度について、多額の費用を要する一方で効果が不透明だったと説明し、関連予算や行政資源を物価高対策や地域経済の活性化など新政権の重点政策へ振り向ける考えを示した。
デジタルID制度はスターマー政権が不法就労対策や行政サービスのデジタル化を目的として導入を進めていた。就労資格の確認を効率化するとともに、各種行政手続きを一元化する構想だったが、個人情報の集中管理や監視社会につながるとの懸念が市民団体や野党から相次ぎ、制度の是非を巡る議論が続いていた。政府は当初、制度の利用を広範囲に義務付ける方針だったものの、反発を受けて運用内容を一部見直していた。
バーナム氏の報道官は超党派の議員団が制度を「失敗事業」と厳しく批判していたことにも言及し、新政権は限られた資源を国民生活の改善に充てるべきだとの判断に至ったと説明。高額なシステム整備を進めるよりも、生活費負担の軽減や地方自治体への権限移譲といった政策を優先する姿勢を鮮明にした。
一方で、新政権は不法就労への取り締まり自体を緩和する考えはなく、雇用主による就労資格確認制度は現行の仕組みを維持する方針だ。デジタルIDの導入は見送るものの、旅券など既存の身分証明書を活用した確認を継続し、ギグワーカーやオンコール労働者にも対象を拡大する法整備を進める見通しである。
バーナム氏はかつての労働党政権で内務省政務次官を務め、身分証制度の導入を支持した経歴を持つ。しかし今回は、多額の予算と政治的労力を投じても成果が保証されない大型事業より、国民が日常生活で直面する課題への対応を優先する必要があると判断した。
デジタルID計画の撤回は次期政権がスターマー政権の政策を見直し、「生活重視」へと軸足を移す姿勢を象徴する決定として注目されている。
