◎住民はバケツ、ほうき、木の板、土嚢(どのう)などを駆使して住宅や店舗を守ろうとしたが、水の勢いには勝てなかった。
2021年7月25日/イギリス、ロンドン市内の様子(Getty Images/AFP通信)

7月26日、ロンドンの市民は前日の豪雨がもたらした浸水の後片付けに追われた。ロンドンで季節外れの豪雨が発生したのはここ数週間で2回目。負傷者の情報は伝えられていない。

英国気象庁によると、ロンドン中心部では25日午後に41.8mmの雨量を確認したという。これは7月1カ月の降水量とほぼ同じで、市内は水浸しになり、一部の道路は冠水し、地下鉄には泥水が流れ込んだ。

英国気象庁は25日、イングランドとスコットランドの一部では今後数日の間に同様の豪雨が発生する可能性があると注意を呼びかけた。

ロンドンの北東にあるホイップスクロス病院は、地下室に水が流れ込んだ影響で電気系統が故障し、26日に予定していた全ての手術と外来患者の予約をキャンセルした。

BBCニュースによると、ロンドン消防隊は洪水関連の電話を1,000回以上受けたという。消防士たちは車に閉じ困られた人を救助し、冠水した地下室に飛び込み、多くの市民を避難させた。

市内の地下鉄と駅は軒並み閉鎖され、市民はまさかの事態に困惑した。ソーシャルメディアでは水没した駅の写真や動画が複数共有されている。

2021年7月25日/イギリス、ロンドン中心部のセントジェームズパーク(Victoria Jones/PAメディア)

住民はバケツ、ほうき、木の板、土嚢(どのう)などを駆使して住宅や店舗を守ろうとしたが、水の勢いには勝てなかった。レストランで働くマリヤ・ピーバ氏はPAメディアの取材に対し、「私の息子は隣人の寝室に飛び込んできた水をバケツで掻き出しました」と当時の様子を語った。

豪雨にもかかわらず自転車に乗っていたエディ・エリオット氏(28歳)は、「道路がロックダウンされていました」と語った。「こんなにすごい光景を見たのは生まれて初めてです。バスが道路のど真ん中で水没(故障)し、道を完全にふさいでいました」

BBCニュースなどによると、ロンドン市内はここ数日好天に恵まれ暑い日が続いていたため、多くの市民が涼を求めて海や公園に避難していたという。

サディク・カーン市長は声明で、「気候変動に関連する事件や事故が増加しています」と述べた。「今年、ロンドンは2度大洪水に見舞われました。ロンドンにできることは限られていますが、気候変動対策は市の優先事項のひとつであり、私とロンドン評議会の指導者たちは大洪水を含む自然災害を緩和するために必要な措置を講じていきます」

西ヨーロッパでは今月初めに広い範囲で大雨が降り、ドイツとベルギーで200人以上が死亡した。

2021年7月25日/イギリス、ロンドン中心部のセントジェームズパーク(Victoria Jones/PAメディア)
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