◎洪水の発生時刻は地域によって異なるが、おおむね7月14日午後から15日午前の間と伝えられている。ドイツでは少なくとも180人が死亡し、ベルギーでは31人の死亡が確認された。
2021年7月15日/ドイツ西部コルデルの地方駅、水没した車両(Sebastian Schmitt/ドイツ通信社/AP通信)

7月23日、ドイツの国営鉄道事業者は、先週西ヨーロッパの広い範囲で発生した大雨による洪水の被害額は約13億ユーロ(1,700億円)にのぼると発表した。

政府当局はドイツ西部とベルギー東部で最悪の被害をもたらした洪水の調査を進めている最中だが、被害総額が明らかになるのは数カ月先と見込まれている。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は先週、「被害は甚大であり、復旧にはかなりの時間がかかる」と述べた。

洪水の発生時刻は地域によって異なるが、おおむね7月14日午後から15日午前の間と伝えられている。ドイツでは少なくとも180人が死亡し、ベルギーでは31人の死亡が確認された。

国営のドイツ鉄道(DB)は23日の声明で、50以上の橋梁、地域内の線路と踏切、信号機、1,000を超える電気および通信設備、照明システム、駅舎など、多くの設備が深刻な被害を受けたと述べた。

DBの当局者によると、現時点で判明している被害額は13億ユーロ(1,700億円)だが、詳細調査は完了しておらず、額は見直される可能性があるという。

メルケル首相は被災地の復興に向けた取り組みを速やかに開始すると発表しており、街と同時に鉄道の復旧作業も進むと期待されている。DBの当局者は記者団に対し、「復旧完了には少なくとも数カ月かかる」と述べ、年末までに全体の80%を復旧できる見込みと明らかにした。

ドイツの国立気象局DWDは、洪水の影響を受けた一部の地域で24日に大雨が降る可能性があると発表したが、警報や避難指示を出すレベルの降水量になるとは予想されていない。DWDは被災地の住民に対し、先日の大雨で地盤が緩んでいる可能性があるため、崖や斜面には近づかないよう呼びかけた。

ドイツの南東約3,000kmに位置するトルコでも大規模な洪水が発生した。北東部の都市アルトウィンでは7月21日頃から降り始めた大雨の影響で街が冠水し、行方不明者が出ているという。当局は1人の負傷を確認し、450人以上が避難したと発表した。

黒海に面するリゼ県の都市リゼでは先週発生した洪水で少なくとも6人が死亡し、2人が行方不明になった。トルコ当局は行方不明者の捜索を続けている。

2021年7月22日/ドイツ、西部シュールドの飲料水処理プラントを解体する当局者(Thomas Frey/ドイツ通信社/AP通信)
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