◎イタリア文化省は8日の声明で、「ラツィオ州サン・フェリーチェ・チルチェーオのガタリ洞窟は、世界で最も重要な遺跡の1つになった」と述べた。
2021年5月8日/イタリア、首都ローマ近郊の洞くつで発見されたネアンデルタール人の頭蓋骨の化石(エマヌエーレ・アントニオ・ミネルヴァ/AP通信/イタリア文化省)

5月8日、イタリアの考古学チームは、首都ローマ近郊の洞窟で9人のネアンデルタール人の化石化した頭蓋骨を発見した。

イタリア文化省は8日の声明で、「ラツィオ州サン・フェリーチェ・チルチェーオのガタリ洞窟は、世界で最も重要な遺跡の1つになった」と述べた。「考古学者たちは極めて貴重なネアンデルタール人の頭蓋骨の化石を発見しました」

ガタリ洞窟では1939年にもネアンデルタール人の頭蓋骨の化石が発見されている。

当局者によると、化石化した骨には、頭蓋骨、頭蓋骨の破片、2つの歯、その他の骨の破片が含まれているという。文化省は、「最も古い化石は9万年から10万年ほど前のもので、他の8つのネアンデルタール人の骨は5万年から6万8000年ほど前のものと考えられている」と述べた。

今回の調査は2019年に始まった。当局者によると、1939年の発見で有名な人類学者のアルベルト・カルロ・ブランはガタリ洞窟内部を探索できておらず、チームは調査開始当初から新たな化石の発見を期待していたという。

ダリオ・フランチェスキーニ文化相は今回の発見を「世界を驚愕させる驚異の発見」と呼び、考古学チームを称えた。

人類学者のマウロ・ルビーニ氏は現地メディアの取材に対し、「今回の発見はローマにかなりの数のネアンデルタール人がいたことを意味します」と述べた。「数万年前の9人の頭蓋骨が特定の狭いエリアで発見されることは極めて稀です。ネアンデルタール人たちは現在のローマ近郊でコミュニティを形成していたのかもしれません...」

文化省によると、ガタリ洞窟の化石は推定5万年前の環境をほぼ完全な形で保存していたという。「洞窟内では化石化したゾウ、サイ、巨大なシカの残骸も見つかっています。今回の発見はネアンデルタール人だけでなく、この地域の動植物の歴史の解明にも役立つでしょう」

ネアンデルタール人は約4万年ほど前までユーラシアに住んでいた旧人類である。絶滅した理由は気候変動や感染症と考えられているが、詳細は明らかにされていない。

2021年5月8日/イタリア、首都ローマ近郊の洞くつ(エマヌエーレ・アントニオ・ミネルヴァ/AP通信/イタリア文化省)
1996年10月/ドイツ、メットマン、ネアンデルタール博物館に展示されているネアンデルタール人(ハインツ・ダックラウ/AP通信
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