◎オラフ・ショルツ氏は8日にキリスト教民主同盟(CDU)のアンゲラ・メルケル首相から政権を引き継ぐ予定である。
2021年12月7日/ドイツ、ベルリンの政府庁舎、連立協定に署名した3党の党首(Michael Kappeler/ドイツ通信社)

ドイツの次期首相である社会民主党(SPD)オラフ・ショルツ党首は7日、連立を組む緑の党と自由民主党との協定署名式に臨み、新政権はEUを強力に支持し、西側諸国の同盟をより強固なものにすると約束した。

ショルツ氏は8日にキリスト教民主同盟(CDU)のアンゲラ・メルケル首相から政権を引き継ぐ予定である。

ショルツ氏は共同記者会見の中で、対話重視の外交政策を継続し、同盟国との関係を強化すると約束したが、「北京2022冬季五輪を外交ボイコットするか?」という質問は却下した。

またショルツ氏は最初に同盟国であるフランスを訪問する予定と明らかにした。首脳会談の実施時期は調整中と伝えられている。

ショルツ氏は10月に開催されたG20サミットに副首相として出席し、ジョー・バイデン米大統領を含む主要国の首脳すでに会談している。最初の主要な外交協議は12月16日~17日にブリュッセルで開催されるEUサミットの予定。

ショルツ氏は記者団に、「新政権は強力な民主同盟であるEUをより強固なものにするための努力を継続する」と述べ、同時に大西洋横断パートナーシップとNATO(北大西洋条約機構)のつながりを強力に推進すると約束した。

またショルツ氏は、「民主主義共同体」という概念を世界に示したバイデン大統領に感謝していると述べた。

しかしショルツ氏は、「北京2022を外交ボイコットするか?」という質問と、「中国の人権侵害に厳しく対処するか?」という質問を受け流した。

メルケル首相は中国とロシアにある程度厳しく接していたが、一部の人権活動家や団体はその政策を「経済および貿易重視」と批判していた。

ショルツ氏は米国との緊密な関係を維持すると強調したが、北京2022への対応はまだ決まっていないと述べるにとどめた。

またショルツ氏はウクライナ東部で進行中の緊張を和らげるために、「フランス、ロシア、ウクライナ、ドイツによるノルマンディー・フォーマット閣僚会合で問題を解決する」と約束した。

シュルツ氏は東部国境付近におけるロシア軍の動きに懸念を表明し、「ウクライナに脅威が生じた場合、ドイツは明確に行動しなければならない」と述べた。

リベラル派の緑の党と中道右派の自由民主党の党首は連立協定に署名し、3カ月近く続いた連立交渉に終止符を打った。3党が手を結ぶのは初めて。

緑の党は気候変動対策を最優先公約に掲げ、欧州最大の工業国であるドイツの経済のさらなる近代化と自由な社会政策を導入すると有権者に約束している。また3党は、最低賃金をこれまでの時給9.6ユーロ(約1,240円)から12ユーロ(約1,540円)に引き上げる計画を打ち出している。

最低賃金は来年7月に10.45ユーロ(約1.340円)まで引き上げられることがすでに決まっていた。なお、3党は計画の実施時期を明らかにしていない。

リベラル派は、最低賃金引き上げはコロナウイルスの影響で沈んだ経済を引き上げる起爆剤になると主張している。一方、タカ派は引き上げ圧力を批判し、「厳しい経営状況にある中小企業の雇用主は首を絞められ、失業率を引き上げる可能性がある」と警告した。

ドイツの10月のインフレ率は燃料や食料品の高騰を受け、4.5%まで上昇した。

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