◎欧州司法裁判所はポーランドの「深刻かつ取り返しのつかない行動」を避けるために、同国に100万ユーロ(約1億3,000万円)の罰金を毎日支払うよう命じた。
2021年10月27日/フランス、パリのエリゼ宮殿、エマニュエル・マクロン大統領とポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領(Michel Euler/AP通信)

10月27日、欧州司法裁判所はポーランドの「深刻かつ取り返しのつかない行動」を避けるために、同国に100万ユーロ(約1億3,000万円)の罰金を毎日支払うよう命じた。欧州委員会は先月、同裁判所にポーランドが行動を起こすまで毎日罰金を科すよう要求していた。

欧州司法裁判所は今年初め、ポーランド政府に物議を醸している最高裁判所の懲戒室を閉鎖するよう命じたが、保守的なアンジェイ・ドゥダ大統領と閣僚はこの命令を却下した。懲戒室は「最高裁判所の判決を制裁する」権限を与えられており、司法の独立を脅かすと非難されている。

またポーランドの憲法裁判所は今月7日、ポーランドの憲法はEU法より優先されると裁定し、EU法優位の原則を否定した。この判決に主要なEU首脳と欧州委員会は強い懸念を表明し、EU予算の一部凍結を含む制裁を科すと示唆している。

欧州委員会はポーランドに割り当てられたEUコロナウイルス回復基金570億ユーロ(約7.6兆円)をまだ承認しておらず、一連の司法紛争が解決するまで承認しない可能性がある。

一方、27日にポーランドの主要メディアが公表した世論調査の結果によると、回答者の40.8%が「政府は敗北を認めるべき」、32.5%が「政府はEUとの交渉を進め、妥協案を示すべき」と答えたという。

ポーランド人の大多数はEU残留を支持しているが、一部の極右議員は離脱を示唆する発言を繰り返しており、「ポレグジット(ブレグジットの造語)」を懸念する声が高まっている。

欧州司法裁判所の判事は27日、「ポーランドは懲戒室を一時閉鎖するか、懲戒室の閉鎖を公式決定するまで毎日罰金を支払わなければならない」と裁定した。

また判事は、「罰金はポーランドに公正公平な行動を求め、EUの法的秩序に対する深刻で取り返しのつかない危害を回避するためのもの」と述べた。

ベルギーのアレクサンダー・デ・クロー首相は27日の会見でこの判決を歓迎し、「ポーランドはEU予算をポケットに入れることもEU法の原則を否定することもできない」と述べ、EUを「現金自動預け払い機」のように扱わないよう警告した。

しかし、ポーランドの副法務大臣は欧州司法裁判所の判決を再び無視すると示唆したと伝えられている。

ポーランドの与党「法と正義の統治党(PiS)」は27日の声明で、「ポーランドはEU予算に多くの財源を費やしており、コロナ回復基金の承認遅れと罰金は到底受け入れられない」と述べた。しかし、ポーランドはEU予算への負担(支出)より多くの予算を受け取っている。

ポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相は先日、欧州議会に「欧州委員会の脅迫は到底容認できない」と述べ、EUは加盟国に対する権限を踏み越えたと非難した。

欧州司法裁判所は今年5月、ドイツとチェコの国境に近いトゥロー炭鉱を一時閉鎖するようポーランドに命じたが、モラヴィエツキ首相は命令を却下し、1日50万ユーロの罰金を支払うよう命じられた。ポーランドは石炭への依存度が高く、エネルギー生産量の約50%を占めている。

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