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デンマークの「徴兵制」拡充、安全保障環境の悪化受け

約1600人の新兵が全国の基地で11カ月間の兵役に就き、従来の4カ月から大幅に延長された訓練を受ける。
2026年1月17日/デンマーク、首都コペンハーゲン、米国のグリーンランド買収計画に抗議するデモ(AP通信)

デンマークで3日、安全保障環境の悪化を受けて拡充された新たな徴兵制度が始まった。約1600人の新兵が全国の基地で11カ月間の兵役に就き、従来の4カ月から大幅に延長された訓練を受ける。ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした欧州の安全保障情勢の緊迫化に加え、トランプ(Donald Trump)米大統領がデンマーク自治領グリーンランドの買収に繰り返し言及していることも制度改革を後押しする要因となった。

今回の制度改革は2024年に決まり、2025年から女性にも徴兵制度が適用されたことに続く防衛政策の大幅な見直しである。従来は志願兵を中心とした4カ月の基礎訓練が主体だったが、新制度では5カ月間の基礎訓練に加え、6カ月間の実任務を含む計11カ月の兵役を義務付ける。また、無人機(ドローン)の運用など現代戦に対応した専門課程も新設され、実践的な能力の向上を目指す。政府は年間の徴兵人数を現在の約5000人から2033年までに7500人に増やす計画を掲げている。

デンマーク政府は近年、防衛力強化を最優先課題の一つに位置付けてきた。ロシアのウクライナ侵攻によって北欧・バルト海地域の安全保障環境は大きく変化し、北極圏の戦略的重要性も一段と高まった。さらに、トランプ氏がグリーンランドの取得や支配に繰り返し言及したことで、デンマーク国内では領土防衛への危機感が強まっている。政府は徴兵制度の拡充に加え、北極圏での監視能力や即応態勢の強化を進め、防衛力全体の底上げを図っている。

こうした方針の象徴として、新たに徴兵された兵士の一部はグリーンランドで任務に就く予定となっている。グリーンランドは北極海に面した広大な自治領であり、北米と欧州を結ぶ戦略上の要衝でもある。デンマーク政府は、同地域の防衛は王国全体の安全保障に直結するとして、監視活動や部隊展開を強化する考えを示している。一方、トランプ政権は同島の戦略的重要性を理由に支配権獲得への関心を示し続けており、デンマークは領有権を認めない姿勢を堅持している。

デンマークは北欧諸国やバルト諸国と同様、徴兵制度を維持しながら防衛力を強化している。今回の制度改革は単なる兵役期間の延長にとどまらず、安全保障環境の変化に対応した軍の近代化と抑止力向上を目指す取り組みと位置付けられる。

欧州では各国が国防費の増額や兵力拡充を急ぐなど、デンマークの徴兵制度もその流れを象徴する政策の一つとして注目を集めている。

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