◎ロシアはウクライナ東部の国境付近に10万人規模の軍隊を配備し、同盟国のベラルーシと合同軍事演習を行っている。

2022年2月11日/北京2022冬季五輪、ウクライナのスケルトン代表ウラジスラフ・ヘラスケヴィチ選手(NBCニュース)

2月11日、北京2022冬季五輪のスケルトンに出場したウクライナの代表選手が同国東部で進行中の危機の平和的な終結を呼びかけた。

ウラジスラフ・ヘラスケヴィチ選手は競技終了後、「No War in Ukraine(ウクライナで戦争はない)」と書かれたプラカードを掲げ、平和を訴えた。

ヘラスケヴィチ選手はNBCニュースの取材に対し、「これが私の答えです」と語った。「私は他のウクライナ国民と同じく、戦争を望んでいません。私は平和のためにできる限りのことをします...」

ロシアはウクライナ東部の国境付近に10万人規模の軍隊を配備し、同盟国のベラルーシと合同軍事演習を行っている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はウクライナのNATO(北大西洋条約機構)加盟をレッドラインと呼び、それが現実になれば最悪の事態もあり得ると警告している。

ヘラスケヴィチ選手はインタビューの中で、「ウクライナは今、神経を尖らせている」と述べ、国境付近で緊張が高まっていることに懸念を表明した。「東部は21世紀とは思えない状態に陥っています。私は五輪中に自分の立場を世界に示すと決めていました...」

国際オリンピック委員会(IOC)は競技後、ヘラスケヴィチ選手への処分はないと発表した。

IOCは五輪憲章第50条で競技会場や選手村での政治的、宗教的、人種的な宣伝活動を禁じている。

IOCは記者会見の中で、「ヘラスケヴィチ選手の呼びかけは平和を求めるものであり、問題ない」と述べた。

IOCは東京2020夏季五輪前に抗議行動の禁止規定を緩和し、国、組織、個人を標的にしないことなどを条件に入場時や紹介時の表現行為、記者会見やSNSでの発言を認めていた。表彰式での抗議行動は処分の対象。

中国の大会組織委員会とIOCは、競技会場や選手村で何かしらの抗議が行われる可能性を考慮し、準備を進めてきた。

共産党は少数民族ウイルス族、チベット族、香港などに対する弾圧、女子テニス協会の選手の告発、台湾問題などで世界中から非難されている。

西側の一部の国は大会に政府関係者を派遣しない外交ボイコットを行っている。一方、中国の大会組織委員会は外国の選手に対し、「中国の法律に反する発言は罰せられる可能性がある」と警告している。

ウクライナをめぐる緊張の高まりは先週の開会式に暗い影を落とした。IOCのトーマス・バッハ会長は開会に先立ち、五輪休戦を守るよう関係国に訴えていた。

バッハ会長と共に開会式に出席したロシアのプーチン大統領は、最も重要な同盟国である中国の習近平 国家主席に恥をかかせないために、五輪期間中はウクライナに侵攻したくてもできないとの見方が出ている。

しかし、ホワイトハウスは11日、ロシアはいつウクライナに侵攻してもおかしくないと警告し、五輪期間中の侵攻もあり得ると述べた。

AP通信によると、ある政府高官は「ロシアが侵攻開始日を2月16日に設定したという情報を入手した」と述べたという。しかし、安全保障問題を担当するサリバン報道官は、「プーチン大統領が侵攻を決断したかどうかは分からない」と強調した。

ジョー・バイデン大統領とプーチン大統領は12日に電話会談を行う予定。

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