◎捕虜交換は3日間に渡って行われ、イエメン政府の高官やハディ前大統領の弟など、双方の捕虜357人が解放された。
2020年8月22日/イエメン、首都サヌア、シーア派武装勢力フーシの戦闘員(Hani-Mohammed/AP通信)

赤十字国際委員会(ICRC)は15日、イエメン内戦で拘束された戦争捕虜数百人が解放されたと発表した。

国連は先月、イエメンの大部分を実行支配するシーア派武装勢力「フーシ」とサウジアラビアの協議を仲介し、捕虜交換を実現した。

国際社会は近代史上最悪の人道危機を引き起こしたイエメン内戦を終結させる交渉や協議を各地で進めている。

フーシ派はイランの支援を受け、2014年にイエメン政府への攻撃を開始。サウジは翌年、イエメン政府を助けるためにフーシ派への空爆作戦を開始した。

イエメン政府高官は南部に退避し、その後サウジに亡命した。

この戦争による死者は少なくとも16万人と推定され、数百万人の子供を含む1000万~2000万人が飢餓に直面している。

サウジ連合軍とフーシの戦争はイランとサウジの代理戦争に発展した。米国はサウジを支援してきたが、サウジ軍の空爆で多くの民間人が死亡しているという国際的な批判を受け、兵器供与を停止した。

ICRCによると、捕虜交換は3日間に渡って行われ、イエメン政府の高官やハディ(Abedrabbo Mansour Hadi)前大統領の弟など、双方の捕虜357人が解放されたという。

ICRCは声明で、「15日までに計357人が解放された」と報告している。フーシ派の捕虜はサウジおよびイエメン政府の管理地域から首都サヌアに送られた。

フーシ派が解放した者の中にはサウジ連合軍に所属するサウジとスーダンの兵士約20人や故サレハ(Ali Abdullah Saleh)元大統領の親族も含まれていた。

サレハ氏は戦争初期にフーシ派と戦ったが、2017年12月に殺害された。同氏の甥は現在、イエメン西海岸地域を支配する勢力のリーダーとなっている。

フーシ派とサウジ当局は今週、期限切れとなった停戦協定を再開するために協議した。フーシ派の報道官は協議継続を約束している。

オマーンの仲介によるこの協議はサウジとイランが先月、外交関係を回復することで合意したことを受け、勢いを増している。フーシ派はイランやレバノンの過激派ヒズボラなどの支援を受けている。

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