SHARE:

米イラン代表団がドーハに向かう、イランは直接協議を拒否

米政府は地域情勢の安定化や核問題を巡る協議の進展を目指す考えだ。
2026年4月20日/イラン、首都テヘランの通り(ロイター通信)

米国とイランの交渉団が緊張緩和に向けた協議のためカタールの首都ドーハに向かう見通しとなった。一方で、イラン側は現時点で米国との「直接協議」は予定されていないとしており、協議が実際に開催されるかどうかは不透明な情勢が続いている。

トランプ(Donald Trump)大統領は29日、イランとの高官級協議がドーハで開かれるとの認識を示し、ウィトコフ(Steve Witkoff)特使やクシュナー(Charles Kushner)大統領顧問を派遣する方針を明らかにした。米政府は地域情勢の安定化や核問題を巡る協議の進展を目指す考えだ。

しかし、イラン外務省は29日、米国との直接協議を否定し、今回の訪問は仲介国との協議を目的とするものだと説明した。イラン側は米国代表団がドーハ入りすることと、両国間の正式な会談は別問題であるとの立場を示している。

今回の動きの背景には、ホルムズ海峡周辺で続いた軍事的緊張がある。今月成立した暫定合意後も、双方による攻撃の応酬が続き、停戦は極めて脆弱な状態に置かれている。ホルムズ海峡は世界の原油輸送の要衝であり、地域の不安定化は国際エネルギー市場に大きな影響を及ぼしている。このため、パキスタンやカタールなどの仲介国は双方と連絡を取りながら、対話再開に向けた調整を進めている。

協議では、停戦の履行に加え、イランの核開発問題や経済制裁、凍結資産の扱いなどが主要な議題になるとみられる。ただ、双方の立場には大きな隔たりがある。米国はイランの核開発能力の大幅な制限を求める一方、イランは制裁解除や凍結資産の返還を要求し、妥協点を見いだせるかは見通せない。

また、イランは約60億ドルの凍結資産について一部解除が進んでいると説明する一方、ホルムズ海峡の安全確保についても自国が主導権を持つべきだと主張している。これに対し米側は航行の自由を重視し、安全保障を巡る認識の違いも交渉の障害となる可能性がある。

軍事的緊張が再び高まれば、中東情勢だけでなく世界経済への影響も避けられない。仲介国による外交努力が続く中、ドーハで米国とイランの対話が実現するかどうかが、今後の地域情勢を左右することになりそうだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします