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英政府、防衛費150億ポンド増額へ、防衛力強化目指すも野党反発

計画では、自律型無人機や人工知能(AI)を活用した兵器システム、無人潜水艇、次世代戦闘機など先端技術への投資を重点分野とする。
2026年6月30日/イギリスのスターマー首相(AP通信)

イギリス政府は6月30日、防衛力強化を目的として今後4年間で150億ポンド(約3.23兆円)の追加国防支出を行う新たな防衛投資計画を発表した。ロシアによるウクライナ侵攻以降、欧州の安全保障環境が厳しさを増す中、軍の近代化を加速させる狙いがある。

計画では、自律型無人機や人工知能(AI)を活用した兵器システム、無人潜水艇、次世代戦闘機など先端技術への投資を重点分野とする。特に無人機関連には約50億ポンド、日伊と共同開発を進める次世代戦闘機計画には約80億ポンドを投じるほか、弾薬や長距離ミサイルの備蓄拡充にも約110億ポンドを充てる。また、核抑止力の維持や潜水艦戦力の更新も重要な柱となる。

政府は今回の増額により、防衛費を2029年までに国内総生産(GDP)の約2.7%へ引き上げる方針を示した。年間の国防予算は800億ポンド規模となる見通しで、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国に求める防衛力強化への姿勢を内外に示す狙いもある。将来的には2035年までにGDP比3.5%の目標達成を目指す考えだ。

一方で、今回の計画には早くも「必要額に及ばない」との批判が相次いでいる。軍幹部らは、装備更新や兵員確保にはさらに多額の予算が必要だと主張しており、従来求めていた2030年までにGDP比3%へ引き上げる目標は盛り込まれなかった。この方針を巡っては、国防相が「国家の安全保障を守るには不十分だ」として辞任する事態にも発展するなど、政権内でも意見の対立が表面化している。

財源確保のため、政府は道路や住宅、エネルギー関連など一部インフラ事業の予算を削減・先送りする方針を示した。しかし、軍関係者からは、追加予算の一部は既存計画の穴埋めに使われる可能性があり、新たな能力向上につながる資金は限定的との見方も出ている。また、装備の更新延期や訓練費の抑制を余儀なくされるとの懸念も根強い。

イギリス政府は欧州情勢の緊迫化や新たな戦争形態への対応には防衛投資の拡大が不可欠だと強調する。一方で、専門家や野党は「現実の脅威に見合う水準には達していない」と指摘しており、安全保障と財政健全化をどのように両立させるかが大きな課題となりそうだ。

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