◎イエメン内戦は近代史上最悪と呼ばれる人道危機を引き起こし、この8年で兵士や民間人など少なくとも16万人が死亡。子供を含む推定1000万~2000万人が飢餓に直面している。
イエメン、首都サナア、シーア派武装勢力フーシの戦闘員(Getty-Images)

国連は25日、内戦で荒廃したイエメンの2023年の人道支援活動に43億ドル(約5560億円)が必要と発表した。

国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、この資金はイエメンで最も弱い立場にある市民1730万人を支援するために必要不可欠だという。

OCHAは声明の中で、「まずは緊急支援を必要とする1400万人を救う必要がある」と指摘。今年支援を提供しなければならない人は人口の3分の2に相当する2160万人にのぼる見込み。

OCHAによると、2022年に人道・医療支援を必要とした人は2340万人。そのうち1790万人に支援を提供し、支援額は42億7000万ドルに達した。

イエメン内戦は近代史上最悪と呼ばれる人道危機を引き起こし、この8年で兵士や民間人など少なくとも16万人が死亡。子供を含む推定1000万~2000万人が飢餓に直面している。

イランの支援を受けるシーア派武装勢力「フーシ」は首都サヌアを占領し、国連とサウジ連合軍の支援を受ける政府と戦闘を繰り広げてきた。

サウジ連合軍は2015年3月に参戦し、サヌアなどに攻勢を仕掛け、インフラを破壊し尽くした。しかし、絶え間ない空爆と地上戦にもかかわらず戦闘は膠着状態に陥り、壊滅的な人道危機を引き起こしたのである。

国連は昨年、数カ月にわたる交渉の末、休戦協定の延長に失敗した。協定は4月2日に発効し、6月2日に延長され、8月2日の2度目の延長が決まったものの、10月2日に失効した。

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