◎タリバンは2021年8月の政権奪取後、国際社会に基本的人権を保障すると約束したにもかかわらず、女性の権利を厳しく制限してきた。
2022年6月26日/アフガニスタン、パクティカ州郊外の集落(Ebrahim Nooroozi/AP通信)

国連は5日、アフガニスタンで働く国連の女性職員が就労を禁じられたことに怒り表明し、「容認できない人権侵害」と断じた。

国連は声明で「タリバンの決定は比類なき人権侵害である」と述べている。

国連のアフガンミッションは4日、東部ナンガルハル州の女性職員が出勤を妨害されたと報告。深刻な懸念を表明していた。

タリバンはこの措置に関する声明を出しておらず、禁止令が全国に適用されるかどうかは不明である。

国連は声明で「タリバンの決定は女性の権利に対する比類なき侵害、人道主義の原則に対する明白な違反、国際ルールに対する違反であり、断じて容認できない」と非難した。

国連アフガンミッションによると、複数の女性職員が嫌がらせ、脅迫、拘束など、就労を妨害されたり、出勤を邪魔されたりしたという。

国連は声明の中で、「そのため、男女を問わず、すべての国連職員に対し、追って通知があるまで事務所に出勤しないよう指示した」と述べている。

タリバンは2021年8月の政権奪取後、国際社会に基本的人権を保障すると約束したにもかかわらず、女性の権利を厳しく制限してきた。

アフガンの女性は就労機会を奪われ、中等教育も禁じられている。

女性はジムに通えず、ひとりで旅行できず、公園に行くことすらできず、ブルカ(全身を覆うイスラム教のヴェール)の着用を強制されている。

タリバンの就労禁止令はNGOにも適用されている。アフガンで人道支援に当たるNGOのほぼ全てが女性の力に頼っており、国際協力NGOケア・インターナショナル、ノルウェー難民協議会(NRC)、セーブ・ザ・チルドレンなどの主要NGOが活動停止を余儀なくされた。

国連の女性職員は禁止令の対象外だったものの、ナンガルハル州の事案により、国連も標的にされるのではないかという懸念が高まっていた。

国連アフガンミッションは関係者の話として、「タリバンの禁止令はアフガン国内の女性の国連就労を禁じている」と報告している。

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