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トルコ警察が野党CHP本部に突入、執行部と支持者を排除

混乱の発端は、アンカラの裁判所が22日、2023年に行われたCHP党大会の結果を無効と判断したことにある。
2026年5月24日/トルコ、首都アンカラ、最大野党・共和人民党(CHP)の本部に突っ込む治安部隊(ロイター通信)

トルコの首都アンカラで24日、最大野党・共和人民党(CHP)の本部に警察部隊が突入し、失脚した執行部や支持者を強制排除した。警察は催涙ガスを使用しながら建物内へ進入し、数日間続いていた党本部の占拠状態を解消した。今回の強制排除は同国の政治危機をさらに深刻化させる事態として国内外で波紋を広げている。

混乱の発端は、アンカラの裁判所が22日、2023年に行われたCHP党大会の結果を無効と判断したことにある。裁判所は党首選に「不正」があったと認定し、オゼル(Özgür Özel)党首の当選を取り消したうえで、前党首の復職を命じた。これに対し、オゼル氏側は「司法クーデター」と反発し、党本部に立てこもりながら抗議を続けていた。

24日朝、アンカラ知事の命令を受けた機動隊が党本部周辺を封鎖し、支持者らを排除した後、建物へ突入した。現場では支持者と警官隊がもみ合いとなり、一時騒然となった。AP通信によると、警察はゴム弾も使用し、取材中の記者らも建物外へ退去させられたという。負傷者が出たという情報はない。

オゼル氏は排除後、支持者らを率いて議会前へ移動し、「民主主義を守る戦いを続ける」と演説した。一方、復職を命じられた前党首は声明を出しておらず、党内対立は一層深まっている。CHP議員団はオゼル氏を引き続き議会指導者として支持する姿勢を示しており、法廷判断と実際の党運営が食い違う異例の状況となっている。

今回の事態はエルドアン政権下で進む「民主主義の後退」を象徴する出来事としても注目されている。政府側は「司法は独立している」と主張するが、野党や欧米諸国は政権による司法介入への懸念を強めている。とくにCHPは2024年の統一地方選で与党・公正発展党(AKP)に大勝し、イスタンブールのイマモール(Ekrem Imamoglu、勾留中)市長を中心に政権交代への期待を高めていた。こうした中での党首交代劇は、野党勢力の弱体化を狙った動きとの見方も出ている。

政治不安の拡大を受け、トルコ金融市場では通貨リラが下落し、投資家心理も悪化している。専門家の間では、今回の混乱が解散総選挙やさらなる抗議活動につながる可能性も指摘されており、トルコ政治は重大な局面を迎えている。

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