パキスタン・カーン元首相、私立病院で診察後、刑務所に逆戻り、野党反発
カーン氏の政党・パキスタン正義運動(PTI)は今回の措置が最高裁の命令に違反すると反発している。
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パキスタンのカーン(Imran Khan、73歳)元首相が21日、病院での短時間の診察を終え、収監先の刑務所に戻された。カーン氏は2023年8月からラワルピンディの刑務所に収監されている。健康状態の悪化を受け、最高裁判所は18日、同氏をイスラマバードの私立病院に移し、9月16日まで医療監視下に置くよう命じていた。しかし当局は安全上の懸念を理由に私立病院ではなく国立病院で診察を行い、数時間後、「医学的に問題ない」と判断して刑務所へ戻した。
カーン氏の政党・パキスタン正義運動(PTI)は今回の措置が最高裁の命令に違反すると反発している。PTIは最高裁が指定した私立病院での治療や、カーン氏の主治医を含む医療チームによる診察が実施されなかったとして、法廷侮辱罪に当たるとして申し立てを行う方針だ。カーン氏の姉も、刑務所内で同氏が拷問を受け、片目の視力を失ったと主張している。一方、政府は緊急の治療を必要とする異常は医学的検査で確認されなかったとしている。
今回の入院をめぐる対立はカーン氏と政府、さらに軍との緊張関係を改めて浮き彫りにした。カーン氏は2022年、議会の不信任決議で失職した後、軍との対立を深めてきた。現在は土地取引をめぐる事件など複数の事件で有罪判決を受けており、本人は一貫して起訴や判決が政治的動機に基づくものだと主張している。カーン氏は現在、100件を超える訴訟を抱えている。
一方、カーン氏の側近は20日、同氏が釈放された場合、ムニール(Asim Munir)陸軍参謀長ら軍指導部と対立しないとの姿勢を示した。これは、これまで軍を強く批判してきたPTIの姿勢からすると融和を意識した発言といえる。ただ、PTIは9月27日にカーン氏の釈放や適切な法的手続きを求める全国規模の抗議行動を予定しており、政治的緊張が収束する兆しは乏しい。
カーン氏の健康問題は単なる収監者の処遇を超え、パキスタンの政治対立を象徴する問題となっている。最高裁の命令を政府がどこまで履行するか、PTIが法廷闘争と街頭運動をどう組み合わせるかが、今後の政局を左右することになる。
