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トランプ氏「イランとの和平合意、大部分で成立済み」覚書締結へ

中東で続く軍事衝突の終結に向けた重要な進展として注目される一方、イラン側は「現実と一致しない」として慎重な姿勢を示している。
2026年5月23日/ペルシャ湾に停泊する貨物船(ロイター通信)

トランプ(Donald Trump)米大統領は23日、イランとの和平合意に向けた「覚書」の枠組みが「大部分で成立済みだ」と明らかにし、合意にはホルムズ海峡の再開放が含まれると表明した。中東で続く軍事衝突の終結に向けた重要な進展として注目される一方、イラン側は「現実と一致しない」として慎重な姿勢を示している。

ホルムズ海峡は世界の石油輸送量の約2割が通過する戦略的要衝であり、2月末に米国とイスラエルがイランへの攻撃を開始して以降、イラン側による封鎖で世界のエネルギー市場が混乱していた。原油価格は急騰し、各国経済に深刻な影響を及ぼしている。トランプ氏は自身のSNSで「最終的な詳細を詰めている段階だ。近く内容を公表する」と投稿し、早期合意への期待感を示した。

今回の交渉はパキスタンが仲介役を務めており、同国のムニール(Asim Munir)陸軍参謀長が首都テヘランを訪問して高官らと会談を重ねてきた。パキスタンは「最終合意に向け励みになる進展があった」と説明している。

ロイター通信によると、協議中の枠組みは三段階構成となっており、まず正式停戦を宣言し、次にホルムズ海峡問題を解決した上で、30日間の包括協議に移行する案が浮上している。

ただし、イラン側はトランプ氏の発言に不快感を示している。国営ファルス通信は「合意が最終段階にあるという説明は事実と異なる」と報道し、海峡の管理権は引き続きイランが保持すると強調した。また、イラン外務省報道官も「争点はまだ残っている」と述べ、特に米国による港湾封鎖や制裁解除が重要課題だとの認識を示した。イランは核兵器開発を否定する一方、民生目的のウラン濃縮は正当な権利だと主張している。

米側ではルビオ(Maro Rubio)国務長官が23日、「イランが核兵器を保有しないことが和平の条件だ」と改めて強調した。さらに、ホルムズ海峡を「通行料なしで開放する必要がある」と述べ、イランに対して濃縮ウランの引き渡しも求めている。これに対しイラン側は、核問題は今回の停戦協議とは切り離して扱うべきだと反発している。

一方、米国内では共和党保守派から反発も出ている。ポンペオ(Mike Pompeo)元国務長官は23日、この合意が「オバマ時代のイラン核合意の再来だ」と批判し、イランを利する結果になりかねないと警告した。グラム(Lindsey Graham)上院議員ら強硬派も、軍事圧力を維持すべきだと主張している。

トランプ政権は戦争長期化によるエネルギー価格高騰と支持率低下への懸念から、早期決着を急いでいるとみられる。トランプ氏は「良い合意ができなければ攻撃を再開する」とも発言しており、停戦は依然として不安定な状況にある。中東情勢が本格的な沈静化へ向かうかどうかは、今後数日間の交渉に委ねられている。

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