◎ガザ当局によると、パレスチナ側の死者数は2万人を超えた。
2023年12月20日/パレスチナ自治区、ガザ市のアル・アハリ病院(ロイター通信)

世界保健機関(WHO)は21日、パレスチナ・ガザ地区北部で機能している病院はひとつもなく、南部も危機的状況にあると警告した。

WHOパレスチナ自治区代表であるピーパコーン(Richard Peeperkorn)氏はジュネーブ会合の中で、「ガザにある36の医療施設のうち、稼働しているのはわずか9つであり、北部の病院はひとつも機能していない」と語った。

またピーパコーン氏は「最後の砦であったガザ市のアル・アハリ病院もほぼ機能していない状態で、北部の病院には今も数千人が身を寄せている」と警告した。

アル・アハル病院は負傷した子供や女性を数千人保護している。

WHOによると、アル・アハル病院では現在、若手の医師や看護師などが10人に残り、基本的な応急処置を行っているという。

手術を待っている患者は少なくとも80人。抗生物質や薬剤が不足しているため、感染症のリスクが高まっている。

WHOと国連は最近、アル・アハリ病院を含むガザ北部の病院に医薬品、点滴、手術用品、治療用品、出産用品などの物資を届けたと発表していた。

WHOによると、国連は燃料の運搬も計画していたが、安全が確立されていないことと、通関の問題から、計画を断念せざるを得なかったという。

ピーパコーン氏は演説の中で、「WHO職員が1週間前にアル・アハリ病院を訪問した際は完全なカオス状態で、負傷者が屋外で寝たり、手当てを受けたりしていた」と語った。

またピーパコーン氏はガザ北部の現状を「地獄」と評し、イスラエルとハマス双方に人道的停戦を訴えた。

ガザ当局によると、パレスチナ側の死者数は2万人を超えた。実際の死傷者数はこれよりはるかに多いとみられる。

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