SHARE:

メキシコ・ベラクルス州で武装集団が記者を射殺、警察が行方追う

事件は世界でも特に報道関係者に対する暴力が深刻な国の一つであるメキシコで、報道の自由と記者の安全確保をめぐる課題を浮き彫りにした。
2022年7月28日/メキシコ、ベラクルス郊外(Getty Images/AFP通信)

メキシコ中部ベラクルス州で地元の事件や治安問題を取材していたジャーナリストが射殺された。州当局が11日、明らかにした。警察が捜査を開始し、犯行の動機や報道活動との関連を調べている。事件は世界でも特に報道関係者に対する暴力が深刻な国の一つであるメキシコで、報道の自由と記者の安全確保をめぐる課題を浮き彫りにした。

地元当局によると、被害者はベラクルス州内で活動するジャーナリストで、何者かに撃たれ死亡した。武装した複数の男が犯行に及んだとみられ、現場から逃走した。捜査当局は目撃証言や防犯カメラ映像の分析を進めているが、容疑者の特定には至っていない。

ベラクルス州は長年にわたり麻薬カルテルや犯罪組織の活動が活発な地域として知られ、政治家や公務員だけでなく、犯罪や汚職を取材する記者も脅迫や襲撃の対象となってきた。近年も複数のジャーナリストが殺害されており、国内外の報道団体は中央政府に対し、事件の徹底解明と記者保護策の強化を求めている。

メキシコではジャーナリスト殺害事件の多くが未解決のまま残されている。同国は戦争状態にない国の中でも特にジャーナリストの死亡例が多い国の一つで、報道活動そのものが命の危険を伴う状況が続いている。2025年には記者の殺害や失踪が増加し、暴力や司法的圧力による言論封殺も深刻化した。

ベラクルス州では近年、地方選挙をめぐる政治暴力も相次ぎ、治安悪化への懸念が高まっている。2025年には自治体首長選の候補者が選挙活動中に殺害される事件も発生し、州政府が警備体制の強化を進めている。

今回の事件を受け、報道関係者や人権団体は記者に対する暴力が民主主義そのものを脅かす行為だと批判した。真相解明と加害者の処罰を求める声が強まる一方、犯罪組織の影響力が根強く残る地域では、取材現場に立つ記者たちが依然として危険にさらされている。事件はメキシコ社会における報道の自由と安全保障の両立という難題を改めて突き付けるものとなった。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします