◎イスラエルのナフタリ・ベネット首相とジョー・バイデン大統領は26日に会談する予定。
2021年8月25日/ワシントンD.C.のウィラードホテル、イスラエルのナフタリ・ベネット首相(オリビエ・ドゥリエリー/Pool/AP通信)

8月25日、アメリカを訪問中のイスラエルのナフタリ・ベネット首相は、包括的共同行動計画(JCPOA/イラン核合意)の再開を目指すジョー・バイデン大統領に圧力をかけると期待されている。

ベネット首相は出国前の演説で、「イスラエルの最優先事項はイラン核合意に戻らないようバイデン大統領を説得すること」と明言し、イランに対する経済制裁を緩和すればウラン濃色はさらに加速するだろうと警告した。「イランを止めなければなりません。期限切れのイラン核合意は破棄すべきです...」

ドナルド・トランプ前大統領は2018年にイラン核合意から撤退し、イランに厳しい経済制裁を科した。それ以来、両国の関係は緊張したままである。

イラン核合意は3.67%以上のウラン濃縮を禁止している。しかし、イランは濃縮度を63%まで引き上げ、少量の高濃縮ウランを生産することに成功した。

<ウラン(U-235)の濃縮度>
・0.7%:標準
・2~5%:原子炉燃料(軽水炉用)
・3.67%以下:イラン核合意の規定値
・20%以上:高濃縮ウラン
・90%以上:核兵器用

ベネット首相は25日にアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官と個別に会談し、イランと他の問題について協議した。

バイデン大統領は昨年の大統領選挙期間中にイラン核合意への復帰を望んでいると明らかにしたが、両国の間接交渉は完全に行き詰まっており、アメリカの厳しい経済制裁はイランの脆弱な経済に重くのしかかっている。

一方、今月5日に就任したイランのエブラヒーム・ライシ大統領はアメリカに経済制裁の解除を求め、先に制裁を解除しなければイラン核合意への復帰はないと示唆した。強硬派のライシ首相は最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ氏と緊密に連携している。

AP通信によると、匿名を条件に取材に応じたイスラエルの行政当局者は先日、イランの核兵器開発にかかる時間は数カ月に短縮されたと認めたという。また、イスラエルはトランプ前大統領の厳しい経済制裁を歓迎したが、イランの核開発は経済制裁の影響で加速し世界の懸念をより一層深めたと述べた。

バイデン大統領はイスラエル初の女性首相であるゴルダ・メイア氏以来、全てのイスラエル首相と関係を持ち、前任のベンヤミン・ネタニヤフ首相とは緊張した関係を構築した。バイデン大統領は昨年の大統領選挙期間中、ネタニヤフ首相を「極右のリーダー」と呼んだ。

バイデン大統領は昨年の選挙結果確定から約1カ月、ネタニヤフ首相を無視した。しかし、ベネット首相が政権交代を達成した時はわずか数時間後に電話をかけ、祝意を示した。

リベラルなユダヤ人擁護団体Jストリートのジェレミー・ベンアミ代表は以前、「ベネット首相はバイデン政権との前向きな協力関係を築くことに熱心である」と述べた。

しかし、両首脳がいくつかの問題で同期していないことは明らかである。ベネット首相はパレスチナ国家の創設を却下し、バイデン大統領が反対するヨルダン川西岸地区の集落拡大を強く支持している。

ベネット首相はニューヨーク・タイムズ紙のインタビューの中で、「バイデン大統領はエルサレムにあったパレスチナ人のための米国総領事館の運用再開を計画しているが、どう思うか?」という質問を却下した。

ベネット首相とバイデン大統領は26日に会談する予定。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。

2021年6月18日/イラン、首都テヘランの投票所、メディアに手を振るエブラヒーム・ライシ司法長官(当時)(AP通信/Ebrahim Noroozi)
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