◎6人はイスラエルの北部にあるギルボア刑務所の独房から地下トンネルを進み、高さ数メートルの外壁の外に出たと考えられている。
2021年9月6日/イスラエル、ギルボア刑務所の脱獄ルートを精査する当局者(Getty Images/AFP通信/EPA通信)

イスラエルの現地メディアによると、警察当局は9月6日にギルボア刑務所から脱獄したパレスチナの過激派6人のうち2人を拘束したという。

警察は10日の声明で、脱獄犯2人を北部ナザレ市の近くで拘束したと発表した。

6人はイスラエルの北部にあるギルボア刑務所の独房から地下トンネルを進み、高さ数メートルの外壁の外に出たと考えられている。

イスラエルの地元メディアは大脱走を「失態」と呼び、刑務所の当局者と政府を批判した。

一方、パレスチナの過激派グループはプリズンブレイクに成功した6人を称賛し、一部の構成員はイスラエルに焼夷弾気球を発射した。イスラエル軍はこの攻撃に即座に反応し、イスラム過激派組織ヒズボラの施設を空爆している。

刑務所の当局者は、「6人は独房の下から壁の外に続く地下トンネルを数カ月かけて掘った可能性がある」と述べた。トンネルの規模は明らかにされていないが、穴の径は人間1人が這って進むサイズだったと伝えられている。

6人は監視塔のすぐ下に位置する未舗装の道路から地上に上がり、有刺鉄線付きのフェンスに穴を開け、外に出たと考えられている。協力者がいたかどうかは明らかにされていないが、地元メディアの取材に応じた専門家は、「外部の協力なしに脱走を成功させることは難しい」と述べた。

また地元メディアによると、刑務所の監視カメラには6日の午前1時30分頃にトンネルから出てくる不審者の姿が記録されていたという。しかし、刑務所は周辺住人から不審な人物を見たという通報が入るまで脱走の事実を公表せず、午前4時頃にようやく警報を出した。

ギルボア刑務所はテロ事件に関与した囚人6人の脱獄を2時間以上公表しなかったとして厳しく非難された。

伝えられるところによると、トンネル近くの監視塔にいた警備員は居眠りしていた可能性があるという。

脱獄に成功した6人のうち5人は過激派組織イスラム聖戦の戦闘員で、そのうち4人は複数の犠牲者を出したテロに関与した罪で終身刑、もう1人は2年の実刑判決を受けていた。

残り1人はヨルダン川西岸地区に本拠を置く原理主義組織アル・アクサ殉教者旅団(AAMB)のザカリア・ズベイディ元司令官で、多数の銃撃事件に関与した罪で2019年に逮捕され、裁判にかけられている最中だった。

警察は拘束した2人の氏名を明らかにしていないが、ソーシャルメディアには拘束時の様子を捉えた動画が複数共有されており、逮捕されたのは終身刑を言い渡されたマフムード・アラデとヤクブ・カダリだと判明した。

地元メディアによると、警察は目撃者の通報を基にナザレ市内を捜索し、2人を逮捕したという。

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