◎パレードは「警察が承認した計画およびルート」で6月15日に実施される予定。
2021年6月7日/イスラエル(ロイター通信/ゲッティイメージズ/BBCニュース)

6月8日、イスラエル政府は物議を醸している超国家主義者主催のエルサレムパレードを承認した。

まもなく退任する予定のベンヤミン・ネタニヤフ首相の報道官は、ベニー・ガンツ国防相と協議しパレードの開催を許可したと述べた。声明のよると、パレードは「警察が承認した計画およびルート」で6月15日に実施される予定だという。

ただし、主催者が当初予定していたルートは新たな紛争を引き起こす可能性があると指摘されたため、警察は見直しを指示したと伝えられている。これにより、パレード日も当初の6月10日から15日に変更された。

パレスチナのガザ地区を支配するイスラム過激派組織ハマスは、パレードを決行した場合、戦闘はエスカレートすると警告した。

保守的な主催者団体は8日の声明で、「警察はハマスの圧力に屈した」と非難した。

5月21日に集結した紛争の死者数はイスラエルが13人、ガザ地区は少なくとも254人と伝えられている。

2021年5月22日/パレスチナ、ガザ地区、イスラム過激派組織ハマスの戦闘員(AP通信/John Minchillo)

パレスチナ人は東エルサレムの旧市街(イスラム教徒地区)を通過するパレードを挑発を見なしている。

このパレードは第三次中東戦争の勝利と東エルサレムの奪取を祝うものであり、ハマスは4月に行われた同様のパレードに激怒しロケットを発射した。

一方、イスラエル議会は6月13日に野党挙国一致内閣の是非を決めると伝えられている。議会が承認すれば、ネタニヤフ首相とリクード党は野党に転落する。

ヤミナ党(保守派)のナフタリ・ベネット党首と最大野党イェシュ・アティッド党(中道派)のヤリール・ラピッド党首率いる新政府がパレードを許可するかどうかは不明。

イスラエル・ガザ紛争のタイムライン

・4月13日:イスラエル警察とパレスチナ人が東エルサレムで衝突。パレスチナ人はイスラム教の聖なる月の最初の夜に東エルサレムのアル=アクサー・モスクで祈りを捧げる予定だった。

・4月15日:ハマスがイスラエルに向けてロケットを発射。

・4月19日:イスラエルの港湾都市ヤッファでアラブ人とユダヤ人が衝突。

・4月20日:ユダヤ人のギャングが、TikTokで共有された正統派ユダヤ人に対する偏見に腹を立て、アラブ人への攻撃を呼びかける。その後、ギャングとアラブ人は小競り合いを演じた。

・4月23日:保守的な数百人のユダヤ人が「アラブ人に死を」と叫びながらダマスカス門に向けて行進を行う。アラブ人は激しく反発し、衝突に発展した。

・4月24日:ガザ地区からロケットが発射される。イスラエル軍は空爆で応戦した。

・5月2日:ハマスがアラブ人に「人間の盾」を形成するよう呼びかける。

・5月4日:ガザ地区のイスラム過激派組織がイスラエルで焼夷弾攻撃を決行。各地で火災が発生した。

・5月7日:ヨルダン川西岸でイスラエル警察とパレスチナ人が衝突。パレスチナ人2人が射殺され、1人が負傷した。

・5月8日:東エルサレム周辺でイスラエル警察とアラブ人が衝突

・5月10日:アラブ人がイスラエル警察に対する投石攻撃を本格化させる。この日の衝突でアラブ人300人以上が負傷した。

・5月10日:ハマスがイスラエル南部へのロケット攻撃を開始。ネタニヤフ首相は声明で、「敵はレッドラインを越えた」と述べ、空爆開始を宣言した。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領したが、国際社会はこれを認めていない。

聖地エルサレムを奪われた数百万人のパレスチナ人はガザ地区とヨルダン川西岸地区に押し込められ、みじめな生活を送っている。

2021年5月12日/イスラエルとガザ地区の国境付近に配備された砲兵部隊(AP通信/Yonatan Sindel)
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