イラン外相「ホルムズ海峡をめぐるオマーンとの交渉最終段階に」
イランはオマーンとの協議について、海峡の航行を戦前の状態に戻すことを意味するものではないと強調している。
.jpg)
イランのアラグチ(Abbas Araghchi)外相は2日、世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡の航行管理を巡るオマーンとの協議が「最終段階」に入ったと明らかにした。トランプ(Donald Trump)米大統領がイランへの追加攻撃を見送り、外交による解決を優先する姿勢を示した直後の発言であり、中東情勢の緊張緩和に向けた重要な動きとして注目を集めている。
ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海上交通の要衝で、世界の原油や液化天然ガス(LNG)輸送の2割が通過する戦略的水路である。2月末の米イスラエルによるイランへの攻撃後、海峡周辺では航行制限や船舶への攻撃が相次ぎ、エネルギー価格の高騰や世界経済への影響が深刻化してきた。
イランはオマーンとの協議について、海峡の航行を戦前の状態に戻すことを意味するものではないと強調している。アラグチ氏はSNSへの投稿で、「ホルムズ海峡が以前の状態に戻ることは決してない」と述べ、今後もイランが海峡管理に一定の役割を果たす考えを示した。その上で、オマーンとの間で新たな航路の設定や航行ルールを巡る調整を進めており、双方が受け入れ可能な管理体制の構築を目指していると主張した。
協議では、オマーン領海内を通る航路や、イラン領海を航行する船舶に関する手続きなどが主な論点となっている。これまでオマーン側は共同管理案を提示したが、イランは独自案を示して修正を求めるなど、技術的・法的な協議が続いてきた。双方は7月以降、政治・法律・海事分野の専門家を交えた協議を重ね、合意文書の取りまとめを進めている。
こうした動きは、トランプ氏が追加の軍事作戦を一時停止し、イランとの外交交渉に時間を与える方針を示したこととも連動している。米権はイランの核問題や地域の安全保障問題に加え、ホルムズ海峡の安定的な航行再開を包括的な合意の柱に据える考えを示している。一方、イラン側は軍事的圧力には屈しない姿勢を維持しつつも、経済制裁の緩和や海上輸送の正常化を視野に外交交渉を継続する構えを見せている。
ホルムズ海峡の安定は中東だけでなく、世界のエネルギー市場や海上物流に直結する課題である。今回の協議が正式合意に至れば、数カ月にわたり混乱が続いた海峡の航行体制が新たな枠組みに移行する可能性がある。
一方で、イランが従来とは異なる管理体制を求めていることから、航行の自由や国際法との整合性を巡る議論が今後も続く見通しであり、関係国は合意内容を慎重に見極める姿勢を強めている。
