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国内統治の安定維持に神経尖らせるイラン、プロパガンダポスターも

首都テヘランでは現在、巨大なプロパガンダポスターや横断幕が街中に掲示されている。
2026年5月17日/イラン、首都テヘランの通り(ロイター通信)

イラン政府が国内外に向けた大規模な宣伝活動を強化している。経済危機や社会不安、さらに対外的な軍事的緊張が続く中、指導部は「国家の団結」と「対米・対イスラエル抵抗」を強調し、体制の安定を印象づけようとしている。しかし、その裏では政権内部の権力争いや国民の不満が広がっており、専門家の間では「統一演出と現実との乖離」が指摘されている。

首都テヘランでは現在、巨大なプロパガンダポスターや横断幕が街中に掲示されている。そこには革命防衛隊(IRGC)の司令官や軍事作戦を称賛する文言、「西側への勝利」や「国家防衛の成功」を訴えるメッセージが並ぶ。特にホルムズ海峡の管理強化や米国への対抗姿勢を強調する内容が目立ち、政府は愛国主義的な雰囲気を高めようとしている。従来の宗教色の強い宣伝とは異なり、近年は古代ペルシャの歴史や民族的誇りを前面に押し出す傾向も強まっている。

背景には、長引く経済危機と社会不安がある。制裁の影響に加え、戦争による物価上昇や失業拡大が市民生活を圧迫している。近年の抗議デモでは数万人規模の多数の死者や逮捕者が出たとされ、政府への不信感は依然として根強い。今回のプロパガンダ攻勢には、こうした不満を外部への敵意へ転換し、体制への支持を維持する狙いがあるとみられている。

また、イラン政治内部でも変化が進んでいる。近年はIRGCの影響力が拡大し、宗教指導者層よりも軍・治安機関が政治の中心に近づいているとの分析がある。ロイター通信はIRGCが「国家の中の国家」と呼ばれるほど巨大な政治・経済勢力になっていると伝えている。政府主催の集会や軍事訓練イベントではIRGC関係者が前面に立ち、国民へ忠誠と動員を呼びかける場面が増えている。

一方、国民の受け止め方は複雑だ。愛国的な宣伝に一定の支持を示す層がいる一方で、「現実の生活苦を隠すための演出に過ぎない」と冷ややかに見る市民も少なくない。SNS上では、派手な宣伝活動とインフレや失業に苦しむ日常との落差を皮肉る投稿も広がっている。専門家は政府が危機下で結束を演出すること自体は珍しくないとしながらも、「強硬な宣伝だけでは国民の不満を根本的に抑え込むことは難しい」と指摘する。

イラン政府は現在、外交交渉や軍事的緊張への対応を進める一方、国内統治の安定維持にも神経を尖らせている。街を覆う巨大ポスターは外部への威嚇だけでなく、揺らぐ国内結束をつなぎ止めようとする体制側の危機感を映し出している。

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