IMF、中東地域の2026年GDP成長率を大幅に下方修正
今回の下方修正は湾岸諸国を中心とする産油国への打撃が大きいことを反映している。
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国際通貨基金(IMF)は14日、中東・北アフリカ地域の2026年経済成長見通しを大幅に引き下げた。背景にはイランを巡る戦闘の激化と、それに伴うエネルギー供給の混乱がある。2026年の同地域の実質GDP成長率は1.1%と予測され、今年1月時点の見通しから2.8ポイント下方修正された。
今回の下方修正は湾岸諸国を中心とする産油国への打撃が大きいことを反映している。戦闘の影響でエネルギー施設が多数損傷し、さらに原油やLNG(液化天然ガス)の主要輸送路であるホルムズ海峡の航行が混乱したことで、輸出や生産活動に支障が生じている。ホルムズ海峡は世界の石油やガス輸送の2割を担う重要ルートであり、その不安定化は地域経済だけでなく世界経済にも波及する。
国別にみると、イラン経済は特に深刻で、2026年には6.1%のマイナス成長が見込まれている。一方、サウジアラビアは比較的影響が限定的とされるものの、それでも成長率は3.1%と従来予測から引き下げられた。バーレーン、イラク、クウェート、カタールといった他の湾岸産油国も軒並み減速、あるいは景気後退に直面する見通しだ。
対照的に、エジプトなどの非産油国は影響が比較的小さい。エジプトの2026年成長率は4.2%と見込まれ、下方修正はあるものの、産油国ほどの打撃は受けていない。エネルギー輸出への依存度の違いが、各国の経済への影響の差となって表れている。
IMFはまた、今回の見通しが戦闘の早期収束を前提としている点にも注意を促している。仮に紛争が長期化すれば、エネルギー価格の高止まりや供給混乱が続き、成長率はさらに下振れする可能性がある。実際、原油価格の上昇はインフレ圧力を強め、各国の金融政策や財政運営にも難しい判断を迫る要因となっている。
IMFは2027年について、地域経済が4.8%成長に回復するとの見通しを示しているが、これもエネルギー生産や物流が正常化することが前提条件である。戦闘が続けば、この回復シナリオも見直しを迫られる可能性が高い。
今回の見通しは中東情勢が経済に与える影響の大きさを改めて浮き彫りにした。エネルギー供給の要衝である同地域の不安定化は単に地域内にとどまらず、世界的な物価や成長にも波及する。IMFは各国がインフレ抑制と経済成長の維持という難しい課題に直面していると指摘、今後の情勢次第では世界経済全体の下振れリスクも高まるとみられる。
