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イラン政府、イエメン・フーシ派のサウジ海上封鎖で影響力拡大、国際市場に圧力

フーシ派は20日、サウジアラビアに対する海上封鎖を開始すると宣言した。
バブ・エル・マンデブ海峡の概観(ロイター通信)

イエメンの親イラン組織フーシ派による紅海での船舶攻撃や封鎖の脅威が、世界のエネルギー供給網に新たな不安をもたらしている。紅海は中東から欧州やアジアへ向かう石油輸送の重要ルートであり、フーシ派が航行を妨害することで、イランは自国の軍事力を直接使わずに国際エネルギー市場へ影響力を及ぼすことが可能になる。

フーシ派は20日、サウジアラビアに対する海上封鎖を開始すると宣言した。

紅海の要衝であるバブ・エル・マンデブ海峡はアラビア半島とアフリカ大陸の間に位置し、スエズ運河とインド洋を結ぶ世界有数の海上交通路である。この海峡が不安定化すれば、中東産原油や液化天然ガス(LNG)の輸送に大きな影響が出る。船舶各社は安全確保のため航路変更を迫られ、アフリカ南端の喜望峰を経由する長距離航行を選択した場合、輸送コストや時間の増加につながる。

フーシ派はイエメン内戦で台頭した武装勢力で、イランから軍事的・政治的支援を受ける「抵抗の枢軸」の一角である。同組織はこれまで、イスラエルやその同盟国に関連すると判断した船舶を標的にミサイルや無人機による攻撃を行ってきた。フーシ派による紅海での活動は、中東情勢をめぐる対立を海上輸送の安全問題に拡大させる要因となっている。

こうした状況は、イランにとって戦略的な利点をもたらす。イラン自身はペルシャ湾のホルムズ海峡というもうひとつの要衝で影響力を持っているが、紅海で混乱が発生すれば、世界の石油市場に対して複数の圧力手段を持つことになる。ホルムズとバブ・エル・マンデブはいずれも「チョークポイント」と呼ばれる海上交通の要衝であり、ここでの混乱は供給不安や原油価格上昇を招きやすい。

特に影響を受けるのは、サウジアラビアなど湾岸産油国である。中東産油国の多くは海上輸送に依存し、紅海ルートの安全性が低下すれば、輸出計画や輸送コストに影響が及ぶ可能性がある。また、原油価格の上昇は燃料価格や物流費の上昇を通じ、世界的なインフレ圧力を強める恐れがある。

一方で、フーシ派の行動には限界もある。大規模な海上封鎖を長期間維持するには軍事的能力や補給体制が必要で、国際社会による対応が強化されれば活動が制約される可能性がある。しかし、商船への攻撃や航路の不安定化だけでも、保険料の上昇や船舶運航の変更を引き起こし、世界市場に影響を与えるには十分だ。

紅海をめぐる緊張は単なる地域紛争ではなく、世界のエネルギー安全保障に直結する問題となっている。フーシ派が海上交通を圧力手段として利用することで、イランは中東の地政学的影響力をさらに拡大できる。今後、米国や欧州諸国がどのように海上警備や外交対応を進めるかが、国際エネルギー市場の安定を左右することになりそうだ。

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