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EU、イランに対する追加制裁発動、ホルムズ海峡封鎖めぐり

EUが新たに整備した「航行の自由保護」制度に基づいて制裁を適用するのは今回が初めてであり、中東情勢の緊迫化を背景に対イラン圧力を一段と強める形となった。
EUのカラス外交安全保障上級代表(ロイター通信)

欧州連合(EU)は8日、世界のエネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡における船舶航行の自由を脅かしたとして、イラン人2人とイラン革命防衛隊(IRGC)の海軍部隊に対する制裁措置を発動した。EUが新たに整備した「航行の自由保護」制度に基づいて制裁を適用するのは今回が初めてであり、中東情勢の緊迫化を背景に対イラン圧力を一段と強める形となった。

制裁対象となったのは、IRGC海軍の政治担当副司令官とイラン石油・ガス・石油化学製品輸出業者連合の代表、さらにIRGC海軍ホルモズガーン州司令部である。EUはこの2人と組織がホルムズ海峡における海上交通の自由を脅かし、国際海運の安全を損なったと判断。制裁により、EU域内の資産凍結や渡航禁止などの措置が取られた。

ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ要衝で、世界の原油輸送量の2割が通過する。海峡の安全は国際エネルギー市場の安定に直結しており、航行の妨害や封鎖は世界経済に大きな影響を及ぼす。EUはこれまでも海上交通の自由を重視してきたが、2月末に始まった米イラン戦争を契機に、イランが海峡の通航を制限する動きを見せたことから、制裁の適用に踏み切った。

EUのカラス(Kaja Kallas)外交安全保障上級代表は記者団に対し、「航行の自由は国際社会が守るべき基本原則であり、必要であれば今後も制裁制度を活用する」と述べた。EUは紅海やアデン湾での海上警備任務に加え、ホルムズ海峡周辺でも航行の安全確保に向けた取り組みを強化している。

これに対し、イラン政府は強く反発している。外務省はEUの措置を「政治的かつ偽善的な行為」と批判し、ホルムズ海峡に対する主権的権利を維持する姿勢を強調した。イラン側はホルムズを完全に閉鎖する意図はないとしながらも、新たな通航ルールや通航料金制度の導入を示唆している。

ホルムズを巡っては、ドローン攻撃や商船への威嚇行為、軍艦による監視活動が相次ぎ、保険料の上昇や海運コストの増加が国際物流に影響を及ぼしている。EUの今回の制裁は海上交通の安全確保を目的としたものだが、地域情勢の不安定化が続く中、イランと欧米諸国の対立がさらに深まる可能性も指摘されている。エネルギー市場や国際海運業界は今後の外交交渉と安全保障環境の推移を注視している。

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