◎ジョージア州で可決された新しい投票法（選挙法）は投票にいくつかの制限を課しており、広範な論争と非難を巻き起こしている。
報道によると、ハリウッドスターのウィル・スミス氏が主演する「Liberation（解放）」は、米ジョージア州での撮影を中止する予定だという。
同作の監督、アントワーン・フーク氏とスミス氏はデッドラインに宛てた声明の中で、「撤退を余儀なくされた」と述べた。「私たちは有権者の投票へのアクセスを制限する投票法を制定した州政府に利益を提供することはできません」
ジョージア州で可決された新しい投票法（選挙法）は投票にいくつかの制限を課しており、広範な論争と非難を巻き起こしている。MLBは2021年オールスターゲームの会場を同州アトランタからコロラド州デンバーに変更した。
＜法律の要点＞
・郵送投票を要求するために新しいIDが必要になった。
・投票所で順番待ちしている有権者に飲料水や食べ物を提供できなくなった。
・投票に関連する何かしらの問題が発生した場合、州議会に投票を管理する権限を与える。
・不在者投票用のドロップボックスの数を制限する。
・すべての選挙の期日前投票期間を短縮する。
他の映画もジョージア州から撤退する可能性を示唆している。インディ・ジョーンズの新作を監督するジェームズ・マンゴールド氏は先日、投票法に強く反対し、同州での制作から撤退するとツイートした。「ジョージア州政府は、有権者の投票する権利を奪うために税金を使いました。私はそこで撮影したくありません」
スターウォーズシリーズの俳優、マーク・ハミル氏は、#NoMoreFilminginGeorgia（ジョージア州で撮影することはありません）でマンゴールド監督の撤退表明を支持した。
ジョージア州のフィルム・コミッションによると、同州では多くの人気映画やドラマが撮影されてきたという。映画制作の専門家は、「デッドプール、アベンジャーズ：エンドゲーム、ワンダヴィジョン、ストレンジャー・シングス、ウォーキング・デッドなどの人気作品がそこで撮影されました」と述べた。
データによると、映画やドラマの制作はジョージア州に毎年約100億ドル（1兆1,000億円）の経済効果をもたらしているという。新しい投票法に反対する同州議会のステイシー・エイブラムス元下院議員は、ハリウッドに一斉に立ち去らないよう促した。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア氏の娘であるバーニス・キング氏も映画制作者に再考を求めている。「私たちは投票法に反対します。しかし、ジョージア州からの撤退は問題と戦っている中間層と低所得者層の労働者を傷つけるでしょう。そして、撤退は人種差別と階級差別の害を増大させるでしょう」
スミス氏の新作映画「Liberation（解放）」は、南北戦争時代にルイジアナ州の奴隷農園から脱出した黒人奴隷ピーターの半生を描いた作品になると伝えられている。撮影は2021年6月に始まる予定。
ジョー・バイデン大統領はジョージア州の新しい投票法を「残虐行為」と呼び、「21世紀のジム・クロウ法」と非難した。ジム・クロウ法は黒人の一般公共施設の利用を禁止または制限した南部の州法であり、1964年に廃止された。
しかし、多くの共和党員はジョージア州の決定を擁護している。「投票法は手続きを合理化し、選挙制度の信頼を回復させるでしょう」
ジョージア州のブライアン・ケンプ州知事（共和党）は先日の声明でMLBのオールスターゲーム撤退を厳しく非難し、「この決定は州内で働く労働者を傷つけ、経済に長期的な影響を与えるだろう」と述べた。「私は投票法をめぐる戦いから撤退しないと誓約します。私たちは脅迫されていますが、決して沈黙しません」
ケンプ州知事は記者団に対し、「人々は極左のジョー・バイデン、ステイシー・エイブラムス、メジャーリーグ、コカ・コーラ、デルタ航空.....を恐れていますが、私は決して恐れません」と投票法に反対している個人や企業を非難した。
ジョージア州は昨年の大統領選挙と議会選挙の爆心地になり、全世界の注目を集めた。
トランプ前大統領は昨年、同州のブラッド・ラフェンスパーガー州務長官に「11,780票を見つける」よう圧力をかけ、「私は勝ちたいんです」と嘆願したが、結果は覆らなかった。
＜ジョージア州の選挙結果＞
バイデン：2,473,633票
トランプ：2,461,854票（ー11,779票）
トランプ前大統領が見つけてほしかった票：11,780票
