SHARE:

カナダが報復関税で米国に反撃、貿易戦争激化

今回の対立は米加間の通商交渉が決裂したことが直接の引き金となった。
2026年8月24日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(AP通信)

米国とカナダの貿易摩擦が激化している。トランプ政権がカナダ産品約200億ドル相当に50%の追加関税を課したことを受け、カナダ政府は25日、対抗措置として、同規模の米国製品に報復関税を発動すると発表した。対象には鉄鋼、乳製品、家電、農業機械などが含まれ、関税率は15%、25%、50%の3段階となる。措置は9月8日から実施される予定だ。

今回の対立は米加間の通商交渉が決裂したことが直接の引き金となった。トランプ(Donald Trump)大統領はカナダの貿易政策・慣行を問題視し、カナダ製品への高関税を決定したのに対し、カナダのカーニー(Mark Carney)首相は米国がカナダの経済的利益や主権を従属させようとしていると批判した。カナダ政府は報復関税を単なる歳入確保ではなく、国内産業と雇用を守るための防衛策と位置づけている。

カナダ側は米国の特定州に政治的圧力をかける狙いも示している。鉄鋼や農産物だけでなく、魚介類、チーズ、衣料品、化粧品など日常的な消費財も対象となり、米国の生産者や消費者への影響を通じて、トランプ政権に政策転換を迫る構図となっている。さらにカナダ政府は、関税の影響を受ける産業や消費者を支援するため、75億カナダドル規模の支援策も打ち出した。

米加両国は自動車、農業、エネルギー、製造業などで供給網が深く結びついているため、関税の応酬が長期化すれば、企業のコスト上昇や生産計画の混乱、消費者物価の上昇につながる可能性がある。トランプ氏はさらに、カナダの自動車や鉄鋼などへの追加関税を示唆しており、対立が収束するどころか、さらなるエスカレーションへの懸念が強まっている。

今回の問題は単なる関税政策を超え、長年にわたり緊密な関係を築いてきた米加関係そのものを揺るがしている。両国にとって相互依存度の高い貿易関係を維持することが利益となる一方、双方が報復措置を重ねれば、企業と消費者がそのコストを負担することになる。

今後、両国が追加関税の連鎖を止め、再び交渉による解決を目指せるかが焦点となる。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします
あなたへのおすすめ