別れてもお友達?

有名人カップルが破局もしくは離婚すると、高い確率で「別れても私たちの友情は・・・・」「これからは別の道を歩むことになりますが、よき友人として・・・」的なニュアンスの声明が発表される。

私は、元ガールフレンドと友達関係を維持もしくは構築したくないと思っている。特に、付き合った期間が長い女性とは勘弁願いたいと心底思う。

期間が長くなるほど、相手のことを深く知り、付き合っていた当時の思い出が蘇ったりする。「懐かしい話もできるし、友達として付き合うのも悪くない」と思ったこともあるのだが、いざ一緒に食事をしたり酒を飲んだりすると、何とも言えない微妙な気分になってしまう。

大阪で生活していた時、元ガールフレンドと会うもしくは遭遇することはほとんどなかった。自分から連絡することはまずなかったし、相手も基本私と同じ考えだったようだ。当時、私の生活圏は大阪梅田およびその近辺と非常に狭かったのだが、道端でバッタリ遭遇という経験もなかった。

しかし、マンハッタンで半年、その後少し期間を置いてもう2年生活した時は、なぜか何度も元ガールフレンドとバッタリ遭遇した。理由は分からない。私の行動パターンが単調なのか。それともただの偶然か。

アメリカ人、特にニューヨーカーは男女を問わずサバサバした”フリ”をする人が多い。話は簡潔明瞭、ジョークを交えつつサラっとした感じの雰囲気を醸し出そうとする。なぜか。その方がエリート、高給取りっぽく見えるからだ。

恋愛に関しても同様である。一夜限りの関係は当たり前、酒の勢いでベッドに誘い、翌朝コーヒーを飲んでさよならできる。さらに、数週間付き合ったのち、「セックスの愛称が合わない」という理由で別れた二人が、次の日にはランチを楽しんでいたりする。

ただし、当然個人差はあるし、私のように無理と言う人も多い(と思う)。

付き合った期間が長いほど別れた時の衝撃は大きい。ある友人は、1年付き合った元ボーイフレンドが道の向こうからやってくるところを発見し思わず反転、猛ダッシュで逃走した。そして、その様子を元ボーイフレンドにバッチリ見られてしまい、「いくら何でもひどすぎる」と電話で文句を言われたそうだ。

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友達とのセックス?

セックスにオープンなケイト(独身)は、男との友達関係を信じない。しかし、私とはビジネスの関係からスタートし、その後もデート、セックスはなし。お互い付き合っているパートナーがいたおかげで、上手く友達関係を構築することができた。

以前ケイトに「あなたは女性みたいな思考回路を持ってるから、男と思えない。これからも友達として仲良くしましょうね。ただし、友達としてセックスしたいと思うなら、いつでもOK」、と有難くない提案をいただいたことがある。

”伝統的な”結婚までの流れは、「友達だった二人が恋人になりセックス、真剣に付き合ったのちゴールイン」といったところだろう。

友達とセックスし、その後も友達関係を維持する」というケイトの提案(思考)は、ニューヨーカーの中でも比較的異質な部類に入ると思った。

友達とセックスする可能性は十分あり得る。しかし、恋愛に発展することはないと分かっていながら友達とセックスできるだろうか。私は難しいと思った。

私は初めてセックスしたパートナーとの今後を意識してしまう。これは性格なのでどうしようもないと思っている。一夜限りの相手でも色々ゴチャゴチャ考えてしまう。

「これからどうするべきか」「もう1回デートしてから考えよう」など、一夜を共にした相手と自分の今後を意識し、モヤモヤしたのち決断を下すのだが、友達とセックスしたら一体どうなってしまうのか。考えるだけで頭がモヤモヤする。

ケイトはニューヨーカーの中でも異質は「新人類」なので、標準的な日本人である私の手に負える相手ではない。なお、ケイトとセクシャルな関係になったことは一度もなく、今後もないと思っている。

ニューヨーカーの友達関係は間違いなく進化している。以前付き合っていたパートナーのエヴリン(仮名)に、「前の恋人はジェフ、その前はリンだった。セックスの愛称はイマイチだったけど、まあまあ楽しかった。二人は親友なの」と言われたことがある。顔色一つ変えずさらっと答えたため、一瞬困惑し、聞き間違えかなと思ったが、違った。

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なんでもアリなのだ

エヴリンは学生時代からの親友だったリンとパートナーになり、別れた後も以前の関係に戻ったそうだ。さらに同じく親友のジェフと付き合い、別れてからも週に数回顔を合わせるという。

さらにリンとジェフも親友であり、以前付き合っていたとのこと。親友兼元恋人のトライアングル関係はかなりレアだと思う。ちなみにジェフは現在男と付き合っているそうだ。三人ともバイセクシャルとは恐れ入る。

親友、セックス、バイセクシャルの組み合わせはかなり強烈だった。私はエヴリンに、「親友とセックスすることに抵抗はないのか?そして、別れた後、以前の親友関係に戻れるのか?」と質問した。

「近親相姦や動物が相手でなければ、誰とセックスしてもよい、と私は思う。親友も一緒。そこから恋愛関係に発展するか否かは分からないけど、その時はその時。本気にさせてくれるパートナーが現れたら結婚するかもしれないし、しないかもしれない。考えるだけ時間の無駄ね」とエヴリンは答えた。

意中の女性に気持ちを伝え恋人になり、愛情を育んだのち結婚する。もしくは「お見合い⇒恋人⇒同性⇒結婚」という流れでもよい。古きよき(?)伝統的な結婚までのプロセスはニューヨークでは通用しないのだろうか?

通用する。

マンハッタンの某弁護士事務所で働くマギーは、古きよきアメリカンスタイル(?)の恋愛、結婚に肯定的である。彼女は、「若い時は火遊びもいいと思ったが、年をとると安全な方向に進みたくなる。筋肉質でイケイケのドラッグディーラーも悪くない。けど、私は真面目である程度生活感があって、年収は少なくとも50万ドル以上で、男前で身長が185cm以上あって、楽しく会話のできる男を選びたい」と言った。

恐らく、ニューヨーカーの大半はマギーと同じ思考でパートナーを探していると思う。理想が高い点については目をつぶろう。信頼のおける相手とパートナーになり、その先を目指すというオールドスタイルがニューヨーク、マンハッタンでも標準仕様なのではないだろうか。

ちなみにマギーは、別れた男と友達になるなどあり得ない、と断言している。「別れた男と友達関係を構築するなどあり得ない。偶然出くわしただけでも気まずいのに、好き好んで会うなんてマゾヒスト過ぎる。お願いだから消えて、って感じね。よければ一人100ドルで消してくれない?」

友達とのセックスに抵抗を感じるなら、しない。しかし、本気で付き合いたいと考えているなら、覚悟を決めるべきだろう。肉体関係と友達関係を両立できる「新人類」の方は本能のままに行動したらよい。

私の理想とするオールド(アメリカン)スタイルが、サバサバした”フリ”を好むニューヨーカーの標準仕様になったとしたら。この街の魅力は著しく損なわれてしまうかもしれない、と思った。

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