エルニーニョで大西洋ハリケーンが異例の低調、2026年は観測史上まれな静けさ
背景にあるのが、赤道太平洋の海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象だ。
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2026年の大西洋ハリケーンシーズンが、異例の低調さとなっている。米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、9月中旬になってもハリケーンに発達した熱帯低気圧は一つも確認されていない。人工衛星による観測が本格化した1950年代以降、ハリケーンがこれほど遅くまで発生しないのは記録的な事態だ。
背景にあるのが、赤道太平洋の海面水温が平年より高くなるエルニーニョ現象だ。エルニーニョは世界各地の大気循環を変化させ、大西洋では熱帯低気圧の発達を妨げる環境を作り出している。
特に影響が大きいのが「ウインドシア」と呼ばれる上空と地表付近の風向・風速の差だ。2026年はアフリカ西岸からカリブ海にかけてウインドシアが非常に強く、発生しかけた熱帯低気圧を分裂させ、ハリケーンに成長する前に消滅させている。乾燥した空気や下降気流も重なり、大西洋は熱帯低気圧にとって極めて発達しにくい環境となっている。
注目されるのは、海洋自体が高温であることだ。世界の海では記録的な高温が続いているにもかかわらず、大西洋のハリケーン活動は平年のわずか7%程度にとどまる。専門家は、単純な海水温だけでなく、海面水温と上空の大気との温度差が重要だと指摘する。エルニーニョによって大気の温暖化が先行し、海洋から大気へ移る熱エネルギーがハリケーンを発達させる条件が弱まっているという。
ただし、ハリケーンシーズンが終わったわけではない。メキシコ湾ではウインドシアが比較的弱く、シーズン後半に強い嵐が発生する可能性が残る。専門家は「一つの嵐」でも甚大な被害をもたらすとして警戒を呼びかけている。
一方、エルニーニョの影響は太平洋では逆に熱帯低気圧を活発化させている。東部太平洋では活動量が平年の2倍に達し、2026年は大西洋と太平洋で明暗が分かれる異例のシーズンとなっている。
エルニーニョが弱まれば、大西洋に残る暖かな海水が翌年の活動を押し上げ、2027年には反動的に活発なハリケーンシーズンとなる可能性も指摘されている。
