SHARE:

ドナウ川水位低下、ルーマニア政府が原発維持のため緊急措置

チェルナボーダ原発はルーマニアの総発電量の20%を担う重要電源で、原子炉の冷却にはドナウ川の水を利用している。
2026年8月3日/ルーマニア国内を流れるドナウ川、軍による爆薬を使った浚渫作業(AP通信)

ルーマニア政府は記録的な干ばつによってドナウ川の水位が著しく低下する中、国内唯一の原子力発電所であるチェルナボーダ原発2号機の運転継続を図るため、岩石を積載した4隻のはしけを川に沈める異例の対策を急いでいる。既に1号機は冷却水不足のため停止しており、2号機も数日以内に停止を余儀なくされる恐れがあることから、政府は電力供給の維持を最優先課題としている。

チェルナボーダ原発はルーマニアの総発電量の20%を担う重要電源で、原子炉の冷却にはドナウ川の水を利用している。しかし、欧州各地を襲う猛暑と少雨の影響で川の流量は例年の3分の1以下となり、数十年で最低水準まで落ち込んだ。このため先週には1号機が停止し、2号機も冷却水の確保が困難な状況に陥っている。原発の所長は、このままでは5~6日以内に2号機も停止する可能性が高いとの見方を示している。

政府は危機回避に向け、軍の協力を得て川底の岩盤を爆破・除去し、その岩石を積み込んだ4隻のはしけを沈める工事を進めている。水中に沈めたはしけを障壁として利用し、水流を本流へ誘導することで、約60キロ下流に位置するチェルナボーダ原発へより多くの水を流す狙いだ。対策の効果が現れるまでには約1日かかるとみられ、実現すれば2号機の運転期間を5~6日から9~10日程度まで延ばせる可能性があるという。政府は同時に川の浚渫(しゅんせつ)工事なども進め、冷却水の確保に全力を挙げている。

ボロジャン(Ilie Bolojan)首相は先月末、エネルギー分野で全国的な警戒態勢を宣言し、家庭や企業に対して夕方の電力使用を自主的に抑えるよう要請した。仮に2号機も停止すれば電力不足が深刻化し、周辺国からの電力輸入に頼らざるを得なくなる可能性があるが、近隣諸国も干ばつの影響で発電能力が低下しており、融通を受けられる保証はない。

専門家は電力インフラの強化や供給源の多様化が今後の重要課題になると指摘している。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします