欧州エネルギー危機、ドナウ川の水位低下で原発・水力発電停止
各国政府は節電要請や産業活動の抑制に乗り出し、エネルギー危機への警戒を強めている。
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中・東欧を流れる「ドナウ川」の水位が記録的なレベルまで低下し、沿岸各国で発電能力が大幅に落ち込むなど、エネルギー供給への影響が深刻化している。猛暑と少雨が長期間続いたことで河川の流量が急減し、原子力発電所や水力発電所の運転に必要な冷却水や水量を確保できなくなったためだ。各国政府は節電要請や産業活動の抑制に乗り出し、エネルギー危機への警戒を強めている。
最も深刻な状況にあるのがハンガリーだ。同国唯一の原子力発電所であるパクシュ原発は通常約2000メガワットを発電しているが、ドナウ川の水位低下で冷却能力が制限され、出力は約240メガワットまで落ち込んだ。政府は全面停止も視野に入れながら、家庭や企業に対して夕方のピーク時間帯を中心とした節電を要請しているほか、貨物列車の運行を一部制限するなど、電力需要を抑える措置を講じている。
隣国ルーマニアの状況も厳しい。同国最大のチェルナボダ原子力発電所では、2基ある原子炉のうち1基がすでに停止し、残る1基も冷却水不足によって停止の可能性が高まっている。
政府は全国的な警戒態勢を宣言し、自動車メーカーのダチアやフォードに一時的な生産停止を要請したほか、軍が爆薬を用いて川底の岩盤を除去し、発電所へ流れる冷却水を確保する異例の対策を実施した。
セルビアでもドナウ川流域の水力発電所の発電量が通常の2割まで低下し、政府は緊急会議を開催して対応を協議している。国民に対して節電を呼びかけるとともに、近隣諸国との電力融通についても調整を進めているが、欧州全体が猛暑の影響で電力需要の増加に直面しており、電力を域外から調達することも容易ではない。
ドナウ川はドイツから黒海まで約2850キロにわたって10カ国を流れる欧州有数の国際河川で、発電だけでなく物流や観光、水資源の供給を支える重要なインフラでもある。近年は猛暑と干ばつの頻発により水位の低下が常態化しつつあり、船舶の航行障害や農業用水の不足など経済活動への影響も広がっている。
専門家は、気候変動によってこうした極端な渇水が今後さらに増える可能性を指摘している。各国はエネルギー供給の多様化や気候変動への適応策を急ぐ必要に迫られている
