◎ここ数年で最悪の干ばつと地球温暖化が巨大な砂嵐を引き起こしている。
2022年5月23日/イラク、首都バグダッドの河川(Nabil al-Jurani/AP通信)

中東の一部地域で23日、大規模な砂嵐が発生し、数千人が病院に搬送され、イラクで少なくとも1人、シリア東部で3人が死亡した。

サウジアラビア、イラン、クウェートでも負傷者が報告されている。

中東諸国の住民は前例のない激しい砂嵐に困惑している。専門家や政府関係者はここ数年で最悪の干ばつと地球温暖化が巨大な砂嵐を引き起こしていると指摘している。

中東の砂嵐は決して珍しいものではなく、春の終わりから夏頃にかけて吹く季節風が引き起こす。しかし、今年は3月中頃からほぼ毎週発生している。

イラク政府は23日、全国にこの2カ月で10回目となる自宅待機を強く促した。保健省によると、政府は被害の大きい地域に酸素ボンベを送ったという。

シリアではイラクと国境を接する東部地域で砂嵐が発生した。国営メディアによると、アサド政権は医療部門に業務体制を強化するよう命じたという。

シリア東部では今月初めにも砂嵐が発生し、少なくとも3人が死亡、数百人が呼吸器系疾患で入院した。

クウェート国際空港は23日、今月2度目となる全便欠航を余儀なくされた。地元メディアがSNSに投稿した動画には、ほとんど何も見えない空港の滑走路が映っている。

サウジアラビアの気象当局は、首都リヤドの道路の視界がほぼゼロの状態と警告している。当局は不要不急の外出を控えるよう呼びかけている。サウジ政府によると、今月呼吸器系の問題で医療機関に搬送された患者は1300人近くに達したという。

イランでは先週、全土が砂嵐の被害を受け、首都テヘランの学校と政府機関が閉鎖された。AP通信によると、同国南西部の砂漠地帯クゼスタン州の被害が最も深刻で、800人以上が呼吸困難で治療を受けたという。

イランの環境専門家は23日に放送された地元メディアのインタビューの中で、「気候変動、干ばつ、政府の水資源の不適切な管理のせいで砂嵐の威力が増している」と語った。イラン政府は農業のために湿地帯の水を抜き、地域の砂漠化を加速させている。

その他の地域でも記録的な干ばつが砂漠の発生を後押ししているとみられる。

2022年5月23日/イラク、首都バグダッド市内(Nabil al-Jurani/AP通信)
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